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2018.07.08

ファッション

出張の達人に聞く。クールなビジネストリップのマイルール [その2]

「働く服改革」 Vol.6_2
働き方改革はもちろん大事。でも、そのためには「働く服改革」 も同じくらい大事。だってこれからの季節、 日本のビジネスマンを取り巻く環境は過酷だから。
照りつける太陽にまとわりつく湿気。敵は競合企業だけではない。見た目もパフォーマンスも“いつも以上”を発揮できる仕事着とは何か? オーシャンズ的、本当にクールなクールビズを考える。
>その他の「働く服改革」記事はコチラ
いつもの仕事とは勝手が違うビジネストリップ。不慣れな土地やホテルで、不便な思いや面倒を経験した人も多いはず。
そこで、ビジネストリップの達人、それもより難度の高い海外へのビジネストリップに長けた2人の出張族に、夏場の出張をクールにこなすためのマイルールを聞いた。
ふたり目はストラスブルゴを運営するリデア 常務取締役執行役員 神藤光太郎さん。
>ひとり目の“出張の達人” スローウエアジャパン 代表取締役 鈴木雄一郎さんはコチラ

 

【ルール1:出張の“スタンス”】

ビジネストリップでもマイウェイを貫くこだわり派

ヨーロッパを中心としたブランドを揃えるストラスブルゴを率いる常務取締役執行役員。年に120日ほどは海外にビジネス滞在、それが15年ほど続いているという、文句なしの出張の達人だ。
こだわりは、荷物の量を気にせず好きなものや心地良く使えるものはとにかく持っていくこと。ビジネストリップだからと特段意識せず、自分のスタイルを貫く。そのため荷物はいつも大量、それでもいざというときに「ない!」という状況はつくらない。
 

【ルール2:出張の“服”】

着たいものを諦めない。だから、神藤さんのスーツケースは、いつもパンパンだ。スーツを含むジャケットは2週間程度の出張なら5着は持っていく。ときに着ずに終わることもあるが、それでも「着たいときに着たい服がない」ストレスのほうが耐えられないとか。
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クルチアーニのジャケット
クルチアーニのジャケット
左●Tシャツと同生地とあって薄手で軽く、ストレッチ性もバツグン。9万円 右●ストレッチが効いて楽ちん。それでいてミラノリブなので見栄えもちゃんと。12万1000円/ともにクルチアーニ銀座店 03-3573-6059
クルチアーニのTシャツとジャージーシャツ
クルチアーニのTシャツとジャージーシャツ
左●コットンにポリウレタンを8%ブレンドした生地は超快適。程良い光沢が上品。2万5000円 右●タックアウトでも着られる、ノンストレスなストレッチコットン製。4万5000円/ともにクルチアーニ銀座店 03-3573-6059
クルチアーニのジャケット
クルチアーニのTシャツとジャージーシャツ
 

 

【ルール3:出張の“小物”】

神藤さんは、普段のお洒落をそのまま海外でも楽しめるように、アクセサリー類もバリエーションを揃えて持っていく。バッグも軽いナイロン製ではなく、カジュアルなデザインでも上質感を匂わせられるレザーにこだわる。

シセイのバッグ
左●上質なグレインレザーの巾着は食事や買い物などの私用のお出かけに使うという。4万6000円 右●クロコのドキュメントケースはビジネス用。59万円 現地では荷物や資料が多くなければこのふたつで事足りるそうだ。/ともにストラスブルゴ 0120-383-563
 

【ルール4:出張の“癒し”】

宿では、自宅と同じように寛ぎたい派の神藤さん。あくまで仕事で来ている以上は、求めるのは非日常ではなく、むしろ普段通りのテンションを保つための日常感なのだ。炭酸入浴剤が欠かせないのも、そのため。ときにはいつものジムウエアを持参してホテルのジムに行って日課のフィットネスを行うこともあるという。

左●アイマスク
鈴木さんも挙げていたアイマスクは移動中の必須アイテムとのこと。長時間のフライトは、なるべくストレス軽減に努める。
中●スリッパ
屋内でも土足生活の欧米でも、やはり部屋の中では靴を脱ぐことが重要という。スリッパはホテルでもらえるものなど現地調達でもOK。
右●バスクリンのファイン ヒート
シャワー文化の海外でも風呂はゆっくり浸かりたい。トリップの度に、さまざまな種類を試している。今のお気に入りはこれ。

 

【ルール5:出張の“パッキング”】

持っていきたいものは、すべて持ってゆく。だから、トロリーがふたつなんてこともザラ。荷物を探す手間も面倒だからと、オーガナイザーバッグだって使わない。なので、シワにならないためのジャケットの畳み方には一家言あり。
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1:まずは前から両袖に腕を入れる。
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2:両腕の袖先を合わせる。
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3:片手で両方の袖先を握り、反対の腕を袖から抜く。
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4:合わせてた袖先の起点に、腕を残した側の袖に反対の袖を引き入れるようにジャケットを裏返す。
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5:ラペルを揃えて、身頃を綺麗に半分に。
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6:袖とともに縦に折る。
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7:もう一度折って3つ折りに。
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これがイタリアのテーラーで教えてもらった最もシワにならない畳み方だという。ぜひ試してみたい。 
 

【ルール6:出張の“宿・食”】

随分と前から、“民泊”を活用しているという神藤さん。インターネットで簡単に予約ができる「Airbnb」の常連だ。民泊といえど、設備も場所もデザインもナイスで、しかもお手頃価格の宿が最近は多いそう。ホテルと比べアットホームな雰囲気なので、ビジネスミーティングにも使いやすいんだって。食事は、キッチンで自炊することも多いという。

「Airbnb」 www.airbnb.jp/
「昨今はホテル並みのサービスを行うところも増えています。トラブルへの対応力ではさすがに有名ホテルに軍配が上がりますが、基本的に不便はありません。ほとんどが1部屋毎の料金だから、気の置けない人同士でシェアすれば、さらに手頃な価格で泊まれますよ」。(神藤さん)
 

【ルール7:出張の“安全・安心対策”】

ファッションウィークなどイベント事で世界中から多くの人が集まる場合、意外と盲点なのがホテルのWi-Fiがつながりにくくなること。そんなときは、仕事に支障をきたさないために空港などでWi-Fiの短期リースが欠かせない。また、「海外の薬はわからないものや聞き慣れないものだらけ。万が一風邪や腹痛になったときなどのために、宿泊場所から近い薬局と一般的な薬の種類は事前に把握しておくのが安全」だという。
 
 
神藤さんと鈴木さん。旅慣れたふたりの話を聞いて感じたことは、ただ便利さだけを求めていないってこと。
ビジネストリップで大事なことは、いつもと同じコンディションで現地での仕事に臨めることなのは言うまでもない。そのために持っていく服や小物にはこだわりを持ち、それを仕事のモチベーションにつなげているのが、ふたりの“極意”なのかもしれない。
 
永禮 賢=写真 安岡将文=取材・文


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