出張の達人に聞く。クールなビジネストリップのマイルール [その1]
「働く服改革」 Vol.6_1
働き方改革はもちろん大事。でも、そのためには「働く服改革」 も同じくらい大事。だってこれからの季節、 日本のビジネスマンを取り巻く環境は過酷だから。
照りつける太陽にまとわりつく湿気。敵は競合企業だけではない。見た目もパフォーマンスも“いつも以上”を発揮できる仕事着とは何か? オーシャンズ的、本当にクールなクールビズを考える。
いつもの仕事とは勝手が違うビジネストリップ。不慣れな土地やホテルで、不便な思いや面倒を経験した人も多いはず。
そこで、ビジネストリップの達人、それもより難度の高い海外への出張に長けたふたりの出張族に、夏場の出張をクールにこなすためのマイルールを聞いた。
ひとり目はスローウエアジャパン 代表取締役 鈴木雄一朗さん。
【ルール1:出張の“スタンス”】
オン・オフ共用できるベーシックスタイルで揃える派
インコテックス、ザノーネ、モンテドーロ、グランシャツといったイタリアブランドを日本で取り扱うスローウエアジャパンを率いる鈴木さん。これまで通算100回以上も海外を訪れ、さらに1回で1〜2週間程度と長期なので、持ち物を減らすためにもオンとオフ両方で使えるシンプル&ベーシックなものを揃える。基本的に荷物は少なく、しかし、リラックスできる環境作りに必要なものは欠かさずに、がスタンス。
【ルール2:出張の“服”】
普段からシンプル&ベーシックが好みの鈴木さん。特にクールビズの季節なら、出張でもジャケットはネイビーを、パンツはグレーやネイビーのスラックスが1本あればOK。特に着回しの肝となるのはパンツで、「綺麗なシルエットのスラックスさえあればジャケパンからカーディガン、はたまたカットソーまで、どんなコーディネイトもそれなりに見栄えしますよ」。
【ルール3:出張の“小物”】
服と同じく、小物も極力主張を控えた色やデザインをチョイス。とはいえ、そこは大事な商談や初対面の人との会合も多い出張、名門ブランドなどで上質さへのこだわりはしっかりと。一方、誰に見せるでもない身の回りの小物は実用性を重視。アウトドアブランドなどを積極的に活用しているようだ。
【ルール4:出張の“癒し”】
移動中のストレスを極力軽減することにこだわる鈴木さん。フライト前には、現地ですぐ精力的に行動できるように出発前の空港でマッサージを受けることが習慣になっているそうだ。そして機内では、蒸気アイマスクやサンダルでリラックス。乾燥対策のリップや、気付けオイルなどもロングトリップには欠かせない。
左上(チューブ)●トムフォードのリップ
海外限定品。行き先ではもちろん、意外と乾燥する飛行機内でも重宝。
左上(瓶)●アヴェダのオイル
肌に塗るのはもちろん、柑橘系の爽やかな香りで移動中のリフレッシュに。
右上●花王のめぐリズム
飛行機やホテルで熟睡するのに欠かせない。出張が多いので、いつも箱買いで。
下●アイマスク
安眠を助けてくれる存在。飛行機や電車など長距離移動の相棒だ。
【ルール5:出張の“パッキング”】
1週間なら80L程度、2週間なら110L程度のトロリーを使い分け、効率良く持ち運びたい派の鈴木さん。アウトドアブランドのオーガナイザーバッグを愛用するのも、そのためだ。

【ルール6:出張の“宿・食”】
旅ではつい新しい宿や食事を求めてしまいがちだが、ビジネストリップを快適に過ごすためには、常宿と常レストランは必須。通いつめて顔が利くようになると、ちょっとしたトラブルやわがままなオーダーにもすんなり対応してくれるようになるとか。「急なディナーミーティングなど、ビジネストリップではそんな対応力が試されることが多いんです」。
【ルール7:出張の“安全・安心対策”】
一見して誰もが高級時計とわかるようなブランドのものは身に着けない。職業柄持ち物のブランドにはこだわりがあるが、海外ではあくまで匿名的なものを。いかに旅慣れていようとも、海外ではやはり注意は必要。また「海外ではさまざまな国・文化の方と接するので、相対する人が不快感を覚えないようなチョイスにも気を使います」。
鈴木さんのスタイルを聞いていると“クールなビジネストリップ”をしたいなら、実用性に加えて、いつものコンディションを維持するために自分なりの方法を見つけることが大切なようだ。
服装、小物、癒し、宿etc……あなたは何で、出張先でもクールに過ごす?
鳥居健次郎=写真 安岡将文=取材・文