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2018.03.01

ファッション

和なアイテムで“魅せるパッキング”。お坊さんのカバンの中身

Good Life “Good Packing Guy” Vol.6
お気に入りのバッグを選んだはいいけど、“中身”はどうか。出張や旅行、通勤やおでかけまで、常につきまとうのがパッキングという作業。賢く効率的に荷物を詰めるテクニックを学べば、毎日がきっと楽しくなる。目指せ、Good Packing Guy!
日頃なかなか見ることのできない、仏門の世界。ましてやお坊さんのカバンの中身なんて、想像するのも難しいのでは? そこで今回は、滅多にお目にかかることのできない、お坊さんのパッキングテクニック。そのキチンと整理整頓され、“らしさ”が漂う中身は必見!
人と会う機会の多いビジネスマンも、名刺交換や資料を渡す際など、バッグを開けることは多々あるシチュエーションだ。そんなときに、中身まで職業を物語るような印象を与えられたら、スマートに信頼感を得られそう。

さてさて、謎に包まれたパッキングを見せてくれたのは、お寺で副住職を務めるKさん。仕事の都合で顔は拝見できないが、パッキングの中身は包み隠さず紹介してくれた!

着物にもマッチ!ヴィンテージのアタッシェケース
お坊さんとしての仕事道具一式は、すべてこのアタッシェケースに収納。知人から譲り受けたというヴィンテージモノ。なかなかの重さはあるが、経年による味が着物とのバランスを絶妙に保ってくれている。さっそく開けてみると……。

「仕事柄、カバンの中身は整理整頓しています。この中身をご覧になる機会があるのは、葬儀などで控え室にいらっしゃる喪主などお施主さま。向こうもお坊さんとして接して下さるわけですから、ヘンなモノをお見せするわけにはいきません」。
というわけで、すべて和物のケースやファブリックでオーガナイズ。言ってみれば、“魅せる収納”なのだ。
袈裟にも種類があった! 僧侶の正装アイテム

荷物の大半を占めるのが、お坊さんがいつも着ている着物。移動する際は動きやすく袖が短くなった略式版を着用し、正装はバッグへ入れて持ち歩いているそう。黒い着物は大衣(だいえ)と呼ばれる法要時の正装で、袖がとても長い。その大衣は手巾(しゅきん)と呼ばれる紐を腰で結び、手巾の下に置かれた黄土色の袈裟を一番上に掛けると正装が完成する。
また、法要時に使う線香は折れやすいため、竹製の香筒に収めているが、こちらは長さに応じてケースの全長を変えられるアイデアグッズ。竹の節部分がねじ切り式で調整が可能なのだとか。
お経のオーガナイザーは、袈裟入れ!?

お経にはさまざまな種類があり、それぞれ経本にまとめられている。基本的にほとんどのお経は覚えているそうだが、念のため持ち歩いている。これらをまとめて入れているのは、実は袈裟入れ。七宝を彷彿とさせる円(縁)が連なった和柄は、なんとも僧侶っぽい!
細かな小物にも手を抜かない、個性を出したアイテムたち

左上にあるケースは香合と呼ばれる抹香入れで、お坊さん専用の焼香に使用するお香を入れている。プラスチックや漆塗りの香合もあるが、Kさんは京都の専門店でオーダーしたチタン製を愛用。ねじ切りタイプで中身が漏れず、安心して使えるのがポイントだ。また、数珠は光にかざすと青く輝く青猫目石という石を使っているそう。各お坊さんは自分好みの素材のものを持っているのだとか。決まりごとが多そうな仏門の世界だが、意外とアレンジできることが判明!
仕事の必需品、最新のガジェット類は和装させる!

ガジェット好きなKさんは、檀家さんとの打ち合わせにiPadを使用している。ほかにも必要な書類を入れたファイルなど、事務的な道具も持ち歩いている。しかし、そのままバッグから見えてしまうのは好ましくないと考え、着物を入れる袱紗に入れ、なるべく和を演出した。僧侶と言っても現代を生きる社会人。パソコンやタブレットでの仕事管理が当然の時代だけに、ガジェット類は必要不可欠なようだ。
小さな小物にも演出を。西陣織のデジタル小物収納

Anker製のモバイルバッテリーや充電ケーブルといった細々としたガジェット類は、京都で購入した西陣織のメガネケースを流用。こうした機器系は特に和装と合わせるとミスマッチ感が出てしまうため、中身は隠しつつ、見えても美しい織物をチョイス。小さいガジェット類はこうしたケースに入れることで、失くす心配も減る。
道具は最新でも、仏教の世界観は昔から変わらない。だからこそ、その雰囲気を壊さないよう細かな演出を心がけているというKさん。
「とはいえもっとも大事なことは、持ち物をきちんときれいに整理整頓しておくこと。身の回りを清く保つことで、自ずと心も平常心でいられますからね」。
Kさんのパッキング術を参考に、常に清く正しく“魅せる”、おしゃれなバッグの中身を心がけてみてはいかが?
取材・文=川村しより(RIDE MEDIA&DESIGN)
撮影=澤田聖司
 


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