ふとした瞬間に老いを実感することが多くなってきたが、まったく悲観的に捉えていない自分もいる。ウディ・アレンやロバート・デ・ニーロ……。
偉大なる諸先輩を見ればわかるとおり、渋くて滋味溢れる色や柄、アイテムを嗜むことができる領域にようやく達しつつあるわけだから。
むしろ老いることに恋しているような感覚。年を重ねることで「いいなぁ」としみじみ思えてきたコトやモノに、臆することなく挑戦しようじゃないか。
「ドリス ヴァン ノッテン」のジャケット
キャメルカラー、ビッグチェック、ワイドラペル……。若い時分は見向きもしなかったのに、最近になってこんなジャケットに意識が向いている。それは渋みや貫禄、風格を湛える大人の男への憧れとでもいうべきか。
さらにいえば、コートのような着丈とたっぷり身幅を取ったシルエット、グッと深いVゾーンで仕立てることで単なるクラシックを超えて、洗練やモダニティも演出している。だから、着たい! と思わせてくれるのだ。まるで年を重ねていくことを歓迎する、ドリス ヴァン ノッテンのジャケットにはそんな懐の深さが見て取れる。
「ベルルッティ」のブルゾン
外側をシャイニーなシルク、内側を心地良いシルクコットンのダブルジャージー素材で仕立てたハイゲージのブルゾン。さりげなく袖をロールアップして素材のコントラストを楽しむなど、その上質を気張らず味わいたい。
「ザ ナーディーズ」のポロシャツ
これぞおじさんの正装というべき、シンプルなワンポイントのポロ。しかしよく見れば、その刺繍はなんとウディ・アレン!? 洒落たおじさんなら、この遊び心、わかりますよね?
「ルノア」のメガネ
アクセ代わりに首に掛けておいて必要なときだけ目にかざす。気軽に使える老眼鏡は1本のワイヤーを曲げて作った端正な顔立ちも魅力だ。
「ハイダウェイ」のジャケット、ベスト、パンツ
引き締まったカラダでスリーピーススーツを着ている大人には、威厳が漂う。そう、スリーピースは格好いいオトコのバロメーター。1着は持って、定期点検を。
「トラディション」のシャンプー
ビールを使ったシャンプー!? と驚くなかれ。ドイツ産ビールの麦芽とホップのタンパク質が、髪を補修するだけでなく艶と潤いまで与えてくれる。いつもの口グセで“とりあえず”使ってみてはどうだろう。
「品品」の景色盆栽
景色盆栽作家、小林健二が手掛けた一鉢。ヒノキ科の真柏を1つの景色に見立てて苔とともにしつらえた作品。曲線的な枝ぶりの美しさが最大の特徴。
木彫りの熊
おじいちゃんの家に居座っていた、妙に存在感のあったアイツが、近ごろ無性に気になる。元を正せばアイヌの作品で、神に捧げるためのもの。そんなルーツにも思いを馳せる。
「フィッシュ&チップス」のメガネ
メガネを掛け外しする仕草がシブくて格好いい人は素敵だ。ケーブルテンプルの一山メガネなら、さらに知的さが増す、と断言したい。
「モワナ」のトランク
現存するフランス最古のトランクメーカー。独特な側面のカーブは20世紀初頭、クルマに積載するための仕様だったという。
「チャーチ」の靴
最上級スエードのビロードのような質感を保つには、メンテナンスが不可欠。身だしなみに手を抜かない。その大切さを熟知する大人へ。