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2026.10.09

ライフ

“水泳”から見る海洋保全。「海を守る意識を高めるには、正しく海や川に接して楽しめる文化が不可欠」


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自分達の日常とは、一見縁遠く感じる“海洋保全”に、日常の行為や持続可能な経済活動を結びつけながら取り組む企業・人物をOCEANSが表彰する「THE BLUEKEEPERS AWARD」。

今年も開催された「THE BLUEKEEPERS AWARD 2026」では5名の受賞者が決定し、去る8月には授賞式も開催された。

OCEANS編集部では各受賞者にインタビュー取材を実施。今回は「OCEANS賞」を受賞した競泳のオリンピックメダリストであり、現在はスポーツジャーナリストとして活躍する松田丈志さんに話を聞いた。
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まつだ・たけし●1984年、宮崎県生まれ。4歳から水泳を始め、17歳で日本代表入りを果たす。オリンピックは2004年から2016年まで4大会連続で出場し、計4つのメダルを獲得。現役引退後はスポーツジャーナリストとして、あらゆるスポーツの情報をメディアで発信。また、日本ライフセービング協会などを通した水辺の安全に関する啓蒙活動も積極的に行っている。2021年には、スポGOMIアンバサダーに就任。海洋環境保全や競技普及を広く呼びかけている。

まつだ・たけし●1984年、宮崎県生まれ。4歳から水泳を始め、17歳で日本代表入りを果たす。オリンピックは2004年から2016年まで4大会連続で出場し、計4つのメダルを獲得。現役引退後はスポーツジャーナリストとして、あらゆるスポーツの情報をメディアで発信。また、日本ライフセービング協会などを通した水辺の安全に関する啓蒙活動も積極的に行っている。2021年には、スポGOMIアンバサダーに就任。海洋環境保全や競技普及を広く呼びかけている。


美しい海を守る下地は、自然を“正しく恐れる”ことから

海洋保全活動の源泉、それは当然だが、まず海に興味を持って関わる意識を持つこと。そしてそのためには、安全にまつわる知識や技術が最低限必要となる。
 スポーツジャーナリストとして、水泳や海にまつわるさまざまなイベントに、自身でも企画・参加しながら伝える活動を行う。

スポーツジャーナリストとして、水泳や海にまつわるさまざまなイベントに、自身でも企画・参加しながら伝える活動を行う。


日本を代表する競泳選手のひとりとして、オリンピックを含む多くの国際大会で活躍してきた松田丈志さん。

現在はスポーツジャーナリストとして、元アスリートならではの視点で、水泳やあらゆるスポーツの魅力を伝えるべく日々奮闘しているが、同時に“ライフセービング”や“スポGOMI”といった、水辺の安全、海洋保全の大切さを啓蒙する活動も精力的に行っている。

その功績を讃え、「BLUE KEEPERSAWARD 2026」では、OCEANS賞を受賞。海や水辺への理想的な関わり方と、環境に対する思いについてお話を伺った。

――松田さんは、ウォーターセイフティやBLS(一次救命処置)などの資格をお持ちですが、何かきっかけがあったのでしょうか?

松田さん 現役時代、海外でのトレーニングもよくやっていたのですが、遠征先のアリゾナの大学のプールで、サマーキャンプに来ている子供達が人を助けるレクチャーを受けていたり、水泳が盛んなオーストラリアでは、競泳選手の自分達と一緒にライフセーバーがトレーニングをしに来る日があったりと、救命のために泳ぐ技術を学ぶという文化が根付いているのがとても良いことだし、自分もいつか学んでみたいなとは常々思っていたんです。

 オーストラリア合宿での松田さん。同じプールで、ライフセーバーもトレーニングをしていた。

オーストラリア合宿での松田さん。同じプールで、ライフセーバーもトレーニングをしていた。


――水難事故に対する備えが、根強い文化として継承されているわけですね。

松田さん そうですね。例えば海に近い場所に居住地が集中しているオーストラリアでは、ライフセーバーは公務員ですし、ライフセービングの大会のチャンピオンが有名なシリアルのパッケージに印刷されていたりもして、社会的な認知度が高い。

それを目の当たりにして、速く泳ぐだけではなく、泳力で人を助けることができたら確かに素晴らしいし、単純に格好いいなと感じましたね。

――そのときの体験が、引退後の活動の原動力のひとつにもなっているのですね。

松田さん はい。自分はライフセーバーの資格までは持っていないのですが、日本ライフセービング協会を通して、まずは、ウォーターセーフティとB L Sの資格を取りました。

それだけでも何かがあればとても役に立つと思いますが、その知識を活かして、水辺の適切な楽しみ方やいざという時の対処法などを、これからも発信してくつもりです。

 ライフセーバーとともに水辺の安全に関わるイベントなども積極的に参加している。

ライフセーバーとともに水辺の安全に関わるイベントなども積極的に参加している。


――日本でも痛ましい事故が後を絶ちませんが、危機意識に問題があるのでしょうか?

松田さん 他国と比べて、日本の水辺に対する危機意識が特別低いなどとは思わないですし、正確なところはわからないですが、事故に関しては、当然ですがまずは起こさないということが大前提です。

遊ぶ場所の選び方、体調管理や天候判断、海であれば離岸流の発生区域についてなど、基本的な知識は持っておくべきですし、過不足なく“水辺を正しく恐れる”ことが大切です。その重要性はもっと多くの人に知らせていきたいですね。

――海の環境を守るには、まずは海やそこにつながる川に関わっていく意識も必要です。泳ぎの技術や水難事故の対処法を知ることは、スタート地点になりますね。

松田さん そうですね。昨今は、小中学校の水泳の授業が減ったと言われますが、皆の水泳をする機会がどんどんなくなれば、例えばスイミングスクールに行く人と行かない人で、経験の大きな格差が生まれてしまいます。

そうなると海や川で遊ぼうという意識の下地もできないですし、水泳人口や水辺で遊ぶ人たちの数にも影響が出ますから、危機感を抱いていますね。

 宮崎の海に近い街で育ち、サーファーでもある松田さん。

宮崎の海に近い街で育ち、サーファーでもある松田さん。


――水泳経験がほぼない人は、将来プールにも行かないでしょうし、ましてや海や川にも行きたがらないですよね。

松田さん そういう状況はできるだけ回避したいですよね。自分も海辺の街で育ちましたが、人工的に作られたプールや水辺の空間でも十分面白いですし、ましてや海や川といった自然からしか享受できないものはたくさんあると考えています。

正しい知識や恐れ方を身につけて、自然の中でも楽しく遊べる人が増える。それができてこそ、海洋環境への課題感や保全への意識も高まると思います。

――なるほど。松田さんは、ビーチクリーン活動も積極的に働きかけをされていますよね。

松田さん 現役時代から、機会があればビーチクリーンにまつわる活動には参加させていただいてきました。最近は、スイムキャンプのような形式で、子供達に泳ぎのスキルと環境意識を身につけてもらうというイベントなども行っています。

――そういった取り組みの中で、“スポG O M I”のアンバサダーもされています。

松田さん “スポGOMI”は日本財団さんが主体で行われている活動で、ゴミ拾いを競技として楽しみながら行う活動です。やはり個人でやるビーチクリーン活動よりも格段に広がりもありますし、“スポGOMI”は単純に楽しいです。

出会ったときに、これはいいコンテンツだなと思いました。年齢、性別、障害の有無など一切関係なく参加できますし、点数化して競うのでごみを拾うという行為が面白く嬉しいことに変わって、大会はとても盛り上がります。もちろん直接的にゴミを減らせるので、環境保全への参加意識が持てるというのも大きなポイントですね。

 2026年の佐渡オープンウォータースイミングに参加した際の一枚。大会前日にスポGOMIを開催し参加者と一緒に試合会場の海をキレイにした。

2026年の佐渡オープンウォータースイミングに参加した際の一枚。大会前日にスポGOMIを開催し参加者と一緒に試合会場の海をキレイにした。


――今後も、水辺の安全意識と環境保全意識を高める活動は、松田さんのライフワークになりそうですか?

松田さん そうですね。それらに加えて、自身ではサーフィンやトライアスロン、オープンウォータースイミングもやりますので、やはり泳ぐことも欠かせません。

競技者としてガチガチにやっているわけではないですが、やはり自分の原点である水泳の経験を起点に、 “ファンスイミング”はいろんなフィールドで広げていきたい。その気持ちもありますね。

ーー楽しく安全に海や川で泳ぐ文化が広がれば、確かに環境保全意識も自然と高まっていくはずですね。本日は、ありがとうございました!


[問い合わせ]
松田丈志さんホームページ
https://matsudatakeshi.com/

長谷川茂雄=取材・文 吉川雄介=編集

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