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「常に相手を敬いながら、最善を尽くす」



「当時は、ダンスでどう有名になるか、ということばかりを真剣に考えていましたね」。

若い頃から持ち前の運動神経を活かし、ダンスとフィットネスのインストラクターに従事してきた土谷泰平さん。特にダンスへの想いは強く、北海道から上京後も真剣に向き合っていたが、国内トップレベルとの圧倒的な技量差に方向転換を強いられることになる。

「ダンサーの道はいくつかに分かれていますが、踊りだけで生活していける人はごくひと握り。関東に出てきたらその予備軍みたいな人たちがゴロゴロいるんですよ。もうレベルが違うんです。関東ではダンススクールの生徒ですら、札幌のインストラクターレベルでしたからね」

以降、土谷さんはフィットネスの世界へ。2018年にホットヨガスタジオ「LAVA」、暗闇フィットネス「FEEL CYCLE」などの事業を展開するSUMIグループへ入社。会長秘書を経てVB NEXTの代表取締役に就任する。経営者になることでライフスタイルは一変したが、今も体を動かすことが自身のFUN-TIMEになっているという。なかでもここ2年ほどハマっているのが自転車だ。

今回取材現場まで乗ってきたのはスコットの「アディクト」。自転車に乗るときも仕事のときも、普段から衣装提供を受けている「サンギャラリー」の服を着ることが多いという。ファッションにおいてはオンとオフの境目がなく、常に自然体だ。

今回取材現場まで乗ってきたのはスコットの「アディクト」。自転車に乗るときも仕事のときも、普段から衣装提供を受けている「サンギャラリー」の服を着ることが多いという。ファッションにおいてはオンとオフの境目がなく、常に自然体だ。


「これまで、趣味や遊びに時間を費やすのはもったいないという考えがありました。ただ、最近は気分転換になることに時間やお金を使い、それでパフォーマンスが上がるのなら、それはそれで必要な時間であるという思考にシフトしてきました。特に自転車は、目的地への移動手段であり運動でもある。ちょっとした買い物だって、自転車を使えば運動と移動が一緒に済ませられますよね」

実に合理的。それはどうやら普段の着こなしにも反映されているようだ。この日はメインに端正なジャケットを選び、インナーはクリーンな白T。そこに、“自由な動き”を支えるスウェットパンツを合わせた。



「着替える時間も極力削ぎ落としたい。仕事で頻繁に移動することを考えると“動けるパンツ”が基本になります。だから、ジャケット、Tシャツ、スウェットパンツのようなスタイルがちょうどいい。出張で長距離移動があっても、ジャケットを脱げばホテルに着いてすぐジムへ行けるし、荷物も減りますしね」

どこまでも合理的だ。その考えは事業戦略にも表れており「30分で完結するサーキット形式のピラティス」というサービスを生み出した。忙しい現代人の生活にマッチした内容が人気を博し、全国に90店舗以上を展開するまでに成長。非常に理にかなった経営的思考だが、その根底にあるのは、常に相手の立場に立って物事を俯瞰する意識だという。

「お互いが相手のことを第一に考えて動けば、きっと仕事は楽になりますよね。その結果、切磋琢磨するチームや関連スタッフの作業効率が上がれば、僕のメリットにもなる。“常に相手を敬いながら、最善を尽くす”。これを座右の銘としています。合理的思考のベースには、ともに働く仲間を思う気持ちがあるのかもしれません」



他者への敬意が、今の自分を形作っている。それは同グループに入社してからずっと続けている行動にも表れているそうだ。

「グループにジョインして8年ほど経ちますが、毎年僕の入社日には、自分の採用に関わった方へ感謝のメッセージを送るようにしています。たとえ月日が経っても、入社させていただいた恩や縁が、なかったことにはならないですから」

土谷さんは現在、グループ内にある自転車サークルに所属。仲間たちとサイクリングを定期的に楽しんでおり、そこで出会ったメンバーとの縁も大切にしている。

「SUMIグループ内では、自由にサークルを設立することができます。その一環で自転車サークルが立ち上がりました。仲間たちと定期的にロングライドを楽しんでいて、都内から埼玉まで片道50㎞の距離を往復することも。経営者には事業ビジョンを描くひとりの時間が重要ですが、仲間とのライドも僕には必要不可欠なんです」

土谷さんが自筆で描いた自身のFUN-TIME。

土谷さんが自筆で描いた自身のFUN-TIME。


こうして自転車と向き合う時間は、土谷さんのライフスタイルと切っても切り離せない存在になった。本業であるピラティスとの相乗効果もあるという。

「体幹を鍛え、姿勢改善や柔軟性を高めるピラティスはきわめて“実用的”なフィットネスだと思っています。以前は筋力アップを目的としたトレーニングをしていましたが、ピラティスを通して、動ける体へと進化している実感があります。さらに自転車に乗り始めてからは持久力が上がり、より長く機能的に体を使えるようになりました」

今後はアーバンクラシックピラティスとブレストを本格的に全国へ展開し、幅広い年齢層へアプローチしていくことに加え、さまざまな体の悩みを持った人々をサポートしていきたいと目標を語る。その根底にあるのは、すべての人に合理的に、かつ楽しみながら運動をしてほしいという切なる想いだ。体を動かすことは、これからも土谷さんの人生になくてはならない時間なのだ。

VB NEXT 代表取締役社長 土谷泰平●1985年、北海道出身。上京後、フィットネスクラブやホットヨガスタジオで店舗運営などを学び、SUMIグループへ転職。現会長の意向から会長秘書を2年間務め上げる。その後、2020年にVB NEXTの代表取締役に就任。アーバンクラシックピラティスとブレストを展開する。

山本雄生=写真 菊地 亮=取材・文 サンギャラリー=衣装協力

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