連載「黒木美珠の“くるマリアージュ”」とは……街中で見ない日はない、それくらいミニバンの定番として君臨し続けているトヨタ「ヴォクシー」。そんなヴォクシーが2026年5月、一部改良を受けて登場したと聞いて、いてもたってもいられず実車をチェックしてきました。
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トヨタは2026年4月10日にヴォクシーの一部改良を発表し、5月6日に発売しました。今回の一番のトピックは、カーボンニュートラルの実現に向けて、車椅子などに対応した福祉車両「ウェルキャブ」を除く全グレードがハイブリッド専用になったこと。
価格帯は375万1,000円〜(税込)で、エントリーのHYBRID S-G 2WDから、最上級のHYBRID S-Z E-Fourまでがラインアップされています。

フロントまわりは、ボディとの一体感を意識した意匠変更で、目元をキリッと強調したスタイリッシュな表情に。

ヘッドランプは、プロジェクター式LEDにLEDターンランプ、デイライト機能付きのLEDクリアランスランプを組み合わせた仕様がS-Zのメーカーオプションとして選べるほか、マニュアルレベリング機能付きのリフレクター式LEDヘッドランプの組み合わせが全車標準です。

フロントグリルは本体がシルバーのメッキ調からブラック加飾に変更し、ボディカラーがニュートラルブラックのときはグリルガーニッシュもブラックに。

17インチホイールも切削光輝にブラック塗装とダーククリアを重ねた仕立てに刷新されていて、実車を前にすると「より引き締まったな」というのが第一印象でした。
このスポーティで、どこかイカつさのような雰囲気を感じさせるフロントマスクこそ、姉妹車「ノア」とのキャラクターの違いをはっきり際立たせているポイントです。
同じプラットフォームを共有していても、ノアが穏やかで柔らかい上質な雰囲気を纏うのに対して、ヴォクシーは攻めた造形で走りの楽しさや力強さを前面に出したデザイン。ファミリー向けミニバンだからといって、デザインのかっこよさを諦めたくない人の気持ちをちゃんとわかってくれている気がします。

内装もスポーティー方向に意匠が見直されていて、シフトノブやウィンドウスイッチまわりは全グレードでピアノブラック塗装に。

上級グレードのS-Zは、メーターフードが表皮巻き・ステッチ加工になり、インストルメントパネルにもステッチと一部スエード調表皮が追加されているほか、シート表皮の意匠変更やドアトリムへのステッチ加工・スエード調表皮の採用まで及んでいて、触れるたびに質感の上がったのがわかります。

装備まわりもアップデートされています。メーターの液晶は大型化されていて、S-Zは7インチから12.3インチへ、S-Gは4.2インチから7インチへ。前後方ドライブレコーダーが新設定されS-Zは標準、S-Gはメーカーオプションとして装備されました。

ドライブモードセレクトには「SNOW EXTRA モード」が加わり(E-Four車は標準設定)、ワンタッチスイッチ付きのデュアルパワースライドドアもS-Gにまで標準装備が広がりました。
ショックアブソーバーの減衰力最適化させ、乗り心地が、防音材の最適配置で車内の静粛性が、それぞれ底上げされているとのこと。ボディカラーには新色のニュートラルブラックとアーバンロックが全グレードに追加されていて、今回撮影した車両も新色のニュートラルブラックでした。

実際に触れてみて感じたのは、細部まで実によく考え抜かれた、非の打ち所のないクルマだということ。なかでも感心してしまったのが、テールゲートの開閉スイッチの位置です。テールゲート本体やナンバープレート付近にスイッチがあるクルマが多いなか、ヴォクシーはあえて左後方の側面にスイッチを配置。最初は「なんでここに?」と思ったのですが、使ってみて納得しました。
駐車場など後ろのスペースが狭い場所だと、荷物を持ったまま車両の真後ろに回り込んでスイッチを押すのって、地味に大変なんですよね。
しかもパワーバックドアが競り上がってくる間、はね上がる扉を避けるためのスペースまで自分の立ち位置に必要になります。
その点、側面のスイッチなら後ろに回り込む必要も、扉を避けるスペースを確保する必要もなし。しかも長押しで開閉量を調整できるので、後ろに十分なスペースがなくても、必要な分だけ開けて隙間から荷物を出し入れできてしまいます。

もうひとつ感動したのが、運転席からの視界の良さ。Aピラー部分に三角窓が大きく開けられていて、死角を極力出さない工夫があちこちに感じられます。実際に右左折してみると、その見晴らしのよさを実感します。この視界のよさは走行中はもちろん、日常のシーンでも効いてくるはずです。

たとえば保育園や学校の送り迎えの時間帯って、駐車場や周辺道路に子供の姿が増えて、クルマを動かすだけでも自然と気を張るもの。そんなときにも、死角の少ない視界は子供の見落としを防いだり、思わぬ障害物にいち早く気づいたりする助けになってくれると思います。

ミニバンの定番として長年愛されてきたヴォクシーですが、今回の一部改良でますます隙のない一台に仕上がった印象です。悪目立ちしすぎないスポーティーさと、家族を乗せる実用性、そして細部まで行き届いた気配り。どれも欲しいという欲張りな人にこそ、ぜひチェックしてほしい一台です。
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