
黒ショーツは万能ゆえ、その便利さに頼り切ってきたところがある。マンネリはそのツケと言っていいかもしれない。
ではどうするか。過去にビームスのプレスとして数々の問いに答えてきた安武俊宏さんが、そのいい対応策を教えてくれた。
【写真15点】「元ビームスのフリーPRが語る黒ショーツ」の詳細を写真でチェック 紹介してくれたのは……
安武俊宏(やすたけ・としひろ)さん●長らくビームスのプレスとして活躍後、1年ほど前に独立。現在は、フリーPRとして様々なブランドのプロモーションやイベント、企画に参画しながら、文化服装学院非常勤講師として毎週、教壇に立つ。
モノトーンコーデの中に潜ませる気の利いたメリハリ

ショーツ=タンジェント シャツ=トーナイ Tシャツ=無印良品 サンダル=アーバニック30 バングル=ララガン メガネ=ゲルノットリンドナー
10年ほど前から、ショーツが夏パンツの主役に昇格した安武さん。パタゴニアのバギーズ(5インチのSサイズ、7インチのMを重用)をメインに、一昨年には60年代のヴィンテージ白ショーツもワードローブへ迎え入れた。そんな中、今回チョイスしたのはタンジェントの一本。
「これは40年代のグルカショーツをモチーフにしたアイテムです。素材がナイロン系だと、途端にアクティブ感が強くなる。家の周りではく分には問題ないのですが、街で着るならこんなウールっぽいものにするか、コットンになりますよね」。


「しかもこれ、ドレス服のファクトリーで製作したクリース入りのツータック仕立てですからショーツとはいえちゃんと見えします。太さもそこそこあってリラックス感も担保されていますから窮屈感もありません」。
さらに丈感やシルエットにも安武さんならではのこだわりがのぞく。

「レングスの長さは膝半分がゆうに隠れるぐらい。これはおそらく僕のショーツ史の中でも最長と言っていい。個人的にはそれぐらいが大人にとってはちょうどいい気がしますね。ここからちょっと短くても、長過ぎてもどこか子供っぽく見えかねません。
ワイドな一本も時代の空気に合わせるという点においてはいいかもしれませんが、モードっぽく見えて浮いてしまう可能性があります。歩いてみて生地が脚にまとわりつかず、とはいえダブつきを感じさせないぐらいが理想です」。
そこに合わせたのはクリーンな白シャツ。

「トップスは夏でも完全に長袖オンリー。暑ければ長袖を捲って着るのが僕の流儀です。やはり、ショートスリーブのTシャツにショーツでは、ややカジュアルに過ぎるかなと。ただ最近はそんなこと言ってられないくらい暑い日が続くので半袖短パンの日もあります(笑)」
しかも、天然繊維が見せる表情は、ショーツのラフさを程よく中和しながら、気張っているようにも見せない頼もしさがあるとか。

「ブランドのデザイナーが生地にめちゃくちゃこだわる方で、こちらでも創業100年以上を数えるスイスのシャツテキスタイルメーカー、アルモの生地を使用しています。芯が柔らかく袖を捲ったとしてもサマになる。それに、天然素材だと経年変化も美しくなっていくじゃないですか。ほんのり現れるシワがいい雰囲気を演出しますよね」。

「ショーツ=カジュアルは一般的な認識。だからいろいろ足しながらそのラフさをどうにかやわらげようとするのは分かります。ただ、頑張り過ぎな要素が見え隠れすると、一気に大人っぽくなくなってしまう気がします。なので、レイヤードにせよ小物にせよ、引き算の感覚で考えた方がいいと思います」。
そこで重要なのがどんなアイテムを選ぶかである。今回、安武さんは着こなしにウィメンズの空気を取り入れた。


「インナーは無印ラボのウィメンズで、サンダルはアーバニックという韓国のウイメンズブランドのもの。どちらも一番大きいサイズを選んでいます。カジュアルなアイテムであってもウィメンズらしい繊細さや洗練さがほんのり香るアイテムもある。そういうのを取り入れても面白いかもしれませんね」。
物足りなさを感じたり、変化を求めたりする際にはどうしてもなにかを加えがち。その気持ちをあえて抑え、抜け感をさりげなく意識しながら合わせるアイテムひとつに気を遣う方が得策だ。