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プロダクトからファブリックへ。価値は"服"から"素材"へ遷移する

――2015年ぐらい復活の兆しが見えてから、先ほどおっしゃっていた丁寧なもの作りが、海外でウケるようになりましたね。
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対談中にも、お互いのデニム談義は止まらず。辻田さんが着用している熊と虎のバックプリントが印象的なTシャツは、コラボコレクションの新作Tシャツ。

対談中にも、お互いのデニム談義は止まらず。辻田さんが着用している熊と虎のバックプリントが印象的なTシャツは、コラボコレクションの新作Tシャツ。


辻田「そうですね。コロナ禍で少しストップしたくらいで、そこからは目に見えて成長しました。あとフルカウントでは2019年に、ヒップポケットにつけていたオリジナルのステッチをやめたんです。これは以前から考えていたのですが、古参のお客様の中には『ステッチやめたらフルカウントのジーパンってわからなくなる』とおっしゃる方もいて、省くことを躊躇していました。でもフルカウントのジーパンはステッチでなく、品質で勝負しているブランド。最初はお客様が離れてしまうのではと怖かったですが、そんなこともなく。ステッチを廃止してから7年経ちますが、おかげ様で売り上げは上々です」



熊谷「アイコニックなデザインがなくても、良いものを作っていれば買い手に伝わりますからね。あとコロナ禍以降、辻田さんたちの功績もあって、世界のアパレル関係者に日本製デニム生地の品質の高さにも気づいてもらいました。いま大変なことになっていますよね?」
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ヴィンテージ信者を中心に人気を誇る、メリハリの効いた「ヒゲ」や「ハチノス」などの色落ちだが、GDCとの最新コラボデニムでは繊細にデザインされている。

ヴィンテージ信者を中心に人気を誇る、メリハリの効いた「ヒゲ」や「ハチノス」などの色落ちだが、GDCとの最新コラボデニムでは繊細にデザインされている。


辻田「ものすごい人気です。いま新規でセルビッジデニムをオーダーするなら、3〜5年待ちは当たり前という状況で。リクエストが多い反面、織機の台数も扱える職人さんの数も限られているし、各社への割りあても決まっていますからね。90年代のブーム期を含めて、それまではプロダクトがメインでしたが、現在はファブリックの需要が高まっていると感じます」

熊谷 「ジルサンダーなど、昔から海外の人気ブランドが日本製の生地を使っていましたし、もともと日本のデニムは評価が高かったですよね」



辻田「そうですね。高品質な日本のデニムはいずれ海外からも評価されるだろうと思っていたので、我々は90年代初期から、デニムパンツとデニム生地を日本の文化として世界に発信し始めていました。当時から、海外のブランドさんがセルビッジデニムで作りたいと相談があったときは仕事を受けていましたよ。産地に生地を買いに行ったりしました」

デニムは完成した。だからこそ自由になれる



――フルカウントが、国内外に250店舗で展開する世界中で愛されるブランドに成長しているなど、ここ数年のデニム人気は凄まじいものがあります。今後はどうなっていくと思われますか?


辻田「何かしら進化や変化はあると思いますよ。でも作り手としては正直、デニムで新たな発見はもうあまりないと言いますか」

最新モデルのデニムパンツはリジット仕様。熊谷さんはW36とW38をスタイルによってはき分けているそう。

最新モデルのデニムパンツはリジット仕様。熊谷さんはW36とW38をスタイルによってはき分けているそう。


熊谷「デニムって、シルエットや色味とかちょっとした違いこそあれど、みんな必ず持っている定番ですしね」

辻田「そうそう。デニム自体がカジュアルにはけるものとして、大昔から変わらずにあるもので、時代に応じて色んな見方や役割があるわけじゃないですか。ブランドとしては創業以来、やるべきことは全部やってきているので、あとはトレンドや気分に応じてアレンジしていくイメージです」

熊谷「ちなみに最近のトレンドはどんなものですか?」

辻田「中古加工のものでも、いまはヒゲが入っていないあっさりとしたタイプが人気です。特に海外ではヒゲがない方がいいというお客様が多いです。あと、ウォッシュ加工やブリーチしたやつがよく売れますね。生地もライトオンスが主流で、11.5とか12.0オンスくらいが人気です」

熊谷「あ、(この日着用していたデニムに触れながら)まさにこれですね」



ーー熊谷さんが着用しているのはフルカウント×GDCのコラボデニムですが、辻田さんはGDCとコラボしたことで物作りに対する変化はありましたか?



辻田「変化とは少し違うかもしれませんが、ありましたね。たとえば、インラインでは『変わらぬものつくり』がテーマになっているので、コラボでは普段ではできない物作りにチャレンジができることですかね。例えばインラインではステッチは、絶対にイエローやオレンジなのですが、本音はホワイトを使いたい。というのもデニムが色落ちして水色っぽくなると、ホワイトステッチの方がよりヴィンテージに近い表情になるんです。でもインラインでは、昔から『ヴィンテージデニムのステッチはイエローかオレンジ』と、お客様に教えてきたから、こちらがセオリーを破れない。コラボラインでは自由な創作ができるのでとても刺激的です」

パッチには熊谷さんと辻田さんをイメージしたクマとトラのデザイン。ちなみに辻田さんは海外、おもに中国では「虎」の愛称で知られているため、このような絵柄に。

パッチには熊谷さんと辻田さんをイメージしたクマとトラのデザイン。ちなみに辻田さんは海外、おもに中国では「虎」の愛称で知られているため、このような絵柄に。


熊谷「それはうれしいですね。私は辻田さんからデニムを教わっているという気持ちが強いです。今回のコレクションはわりとアーバンな感じと言いますか、武骨な表情を残しつつ、シルエットや生地感は、現代的なものに仕上がっています」

辻田「熊谷さん発信で、いまの気分で作りたいものをあげていただき、お互いに共感できることを形にするという関係性。先ほども話しましたが、インラインでできることって、作り手として挑戦できない部分が多いんです。でもコラボだったら、GDCのお客様にも手にとってもらえるので本当にワクワクしています」

本コラボコレクションは、フルカウントが培ったヘリテージ素材と職人技に、GDCならではの遊び心あるモードなデザインを掛け合わせた新たなオリジナルデニムだ。

本コラボコレクションは、フルカウントが培ったヘリテージ素材と職人技に、GDCならではの遊び心あるモードなデザインを掛け合わせた新たなオリジナルデニムだ。


熊谷「それは私も同じ気持ちです(笑)。今後も、私と辻田さんの”ワクワク”がこもった、二人史上最高のコラボデニムを作っていきますので、フルカウント&GDCのファンの方はもちろん、それ以外のデニム好きの方も、ぜひチェックしていただきたいです」

山本 大=写真 オオサワ系=取材・文

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