アイデンティティを形成する、父と“父の先輩”の存在
出世作となった『佐々木、イン、マイマイン』は、役者人生のターニングポイントであると同時に、彼のパーソナリティにも深く関わっている。それは着こなしのルーツにおいても同じだった。

「役者として苦労した時間が長く、もう辞めようかと思った時期もありました。『佐々木』を最後にしてもいいと思っていましたから。僕はその“佐々木”を演じているんですが、実は参考にしたモデルがいまして。それが僕の高校時代の友人と、父の亡くなった先輩なんです。
佐々木は彼らを混ぜたイメージ。 2人が混ざっていると言うと、それぞれの人物像から説明しなきゃいけないので、今までの取材ではずっと『高校の同級生』って言っていたんですけどね(笑)」。
実は、今日履いているレザーシューズも、その亡くなった“父の先輩”から父親が譲り受け、さらに細川さんが受け継いだ形見なのだという。

「父はずっとバンドをやっていて、当時総勢9人いる大所帯におりまして。ジャンルはハードコア。今はもう解散しちゃったんですけどその父がボーカルの先輩からもらい、僕がそれを譲り受けたカタチです。
これがまたすごく履きやすくて、もうスニーカー感覚。その方はもう亡くなられましたが、生前にお会いしたことがあって、めちゃくちゃ格好良かったですよ」。
ヴィンテージやアメカジ、ストリートなど、各時代のカルチャーを通ってきた父親。そして、スキンヘッドにサングラス、革ジャンを好んで着ていたという父の先輩。彼らの男臭いバックボーンは、細川さんのスタイルに確かな影響を与えている。

「細かなサイズや色の変化はあるにせよ、視点や物差しといったベースは、おそらくこれからも変わらないと思います。あとはもう諦めをもったというか、『これが自分なんだから仕方ない』みたいな境地ですね。だから今は、気負わずに生活できている。それが着こなしにも表れているのかもしれません」。
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「最近は落ち着いた色の服が多いですけど、じじいになったら原色を着たいですね。やりすぎてない、ちょっとポップなおじさんになりたいです」と笑う細川さん。自然体で服を楽しむ彼なら、きっと最高にクールな“じじい”になるはずだ。