音楽も料理も、小さなひと手間が印象を変える
――音楽以外から刺激を受ける時間や、最近大事にしている時間はありますか?ボーッとする時間ですかね。仕事では頭をフル稼働させるじゃないですか。たとえば、フェスのような場所は雑多で情報量も多いですし、気持ちも高ぶる。だからこそリラックスできるように、「何もしない日」をなるべく作るようにしています。
ほかには……家でご飯を作ることですね。料理は家事のひとつですが、気晴らしにもなります。好きなものを作って食べるのが楽しいんです。音楽もすべて塩梅というか、バランスを取る作業なんですよね。普通にドラム、ベース、キーボード、歌で完結する曲でも「何かもうひとつ入れたいな」って、ちょっとしたものを入れるだけで、曲の印象がすごく変わるんです。
それが料理と似ている気がします。別にネギがなくても成立するけれど、緑があるといいよね、みたいなレベルの話なんですが。その小さな要素が食べる人の気持ちに深く作用することがある。
――30代、40代で「経験しておいて良かった」と思うことはありますか?30代、40代は上の世代の人がいて、間違えても「ちょっと違うよ」と言ってくれる人がいる。もちろん、50代、60代になってもいますけど、だんだん減ってくるのかなと。
僕くらいの年齢になると、下の世代の人たちが「それ変ですよ」とは言いづらくなるでしょう? 言われたとしても、少し気を遣われてしまうところがあるんじゃないかな。
誰かが言ってくれる若いうちに、いろいろ失敗しておくのは大事ですよね。若さの特権じゃないですけど、間違えてもリカバーできる時期だと思うので。
――最後に、今後のKIRINJIとしての抱負を聞かせてください。バンドのKIRINJIになってから、「人前で歌う」ということを深く考えるようになったんです。10年くらい経ちますが、それが楽しくなってきたような気がします。「自然に声が出ているな」とか、「今いい感じだな」と思える瞬間が増えました。
以前は自分で自分の粗を探しているようだったんです。そうすると、人に対しても厳しくなるじゃないですか。「今、そこ俺の言ったとおりじゃないよね」とか、「コード違うだろ」とか。結局それに気を取られて、自分も間違えることもありましたし。
©GREENROOM FESTIVAL
最近は人の間違いにも少し寛容になれてきて、多少の失点があっても「まあいいか」と思えるようになりました。その方がライブ全体の雰囲気が良くなるし、お客さんにも伝わっていい内容のものが出来上がる。これからも自分のパフォーマンスを高めていきたいですね。
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失敗できるうちに失敗しておく。そして、人にも自分にも少しずつ寛容になること。堀込さんの言葉からは、年齢を重ねることの豊かさが静かに伝わってきた。