2024年10月の試合。綾部さん(左)が63㎏、対戦相手が80㎏という体重差をものともせず、見事に勝利を収めた。
──2024年の10月に開催された「BUSHIDO」の第1回九州大会。キックボクシングを始めてからわずか5カ月での出場にもかかわらず、綾部さんは見事に判定勝ちを収めた。小比類巻さんいわく「KO勝ちしてもおかしくない内容」の試合だったという。綾部 大会の2カ月くらい前に、急遽出場を決めたんです。もちろん試合は、練習とはまったく違う雰囲気。でも不思議と緊張はありませんでした。
小比類巻 現在は経営に注力するため、試合へのエントリーは控えているとのことですが、週2回の練習は欠かさず続けていますよね。以前に比べて、身体にはどんな変化がありましたか。
綾部 明らかに疲れにくい身体になりました。夏場のゴルフなどでその変化を実感しますね。同行メンバーは暑さでぐったりしているのに、自分は元気にプレーできるという。道場でのトレーニングは1回1時間。短時間で一気に鍛えられますから、忙しい人には打ってつけのスポーツだと思います。
自宅にはウイニング社のサンドバッグを設置。自宅でも練習に励んでいる。4人の子供たちも面白がって叩くのだという。
小比類巻 体型の変化を実感する方は本当に多いです。リーダーというものは、やはり見た目も重要ですか?
綾部 体型はもちろん、身だしなみや清潔感も、仕事をするうえで大事な要素だと思っています。リーダーは人前に出る機会が多いもの。自分自身の魅力を上げていくことも、仕事のひとつではないでしょうか。業績の良い会社というものは、経営者が魅力ある人物である場合も多いんですよ。
愛用するP.G.C.D.のソープ(右)と美容液。身体を鍛えることと同じく、仕事をするうえでは清潔感が大事だと考えている。
小比類巻 プロの格闘家も、トップクラスの選手は例外なくカッコいいですね。美は強さに宿りますから。では気持ちの面で、何か変化はありましたか。
綾部 自分の中にひとつの芯ができました。キックを続けると強くなるのが実感できる。それに伴って心も強くなるんです。スパーリングでも「コヒさんに一発当ててやろう」という気持ちで行く。たいてい、逆にやられますが(笑)。練習を終えると、いい意味で頭の中がリセットされます。仕事とのメリハリが生まれるんですよね。
小比類巻 福岡の道場は、メンバー同士の雰囲気もいいと聞いています。
綾部 仲がいいんです。学生時代の同級生というか、部活のような感覚。誰もが明るくポジティブで、経営者として芯が通っている。キックを始めていなかったら出会えなかった方々です。この縁は大事にしていきたいですね。
小比類巻 つまり、今後もずっとキックを続けていくということですね。
綾部 もちろんです。何より私は、本質的に格闘技が好きなんだと思います。練習に行きたくないと思ったことは一度もありません。
構えたとき前になる、右のフックを得意としている。今後は「しっかりと効くミドル(キック)が打てるように鍛えていきたい」と言う綾部さん。
小比類巻 そこまでハマった理由は?
綾部 頭を使うからです。ひとつのパンチを打つための駆け引きを、瞬時に判断して実行しなければならない。それがめちゃくちゃ面白い。そしてその戦略を成功させるためには、テーマを持って練習することが重要です。翻って「自分は日々、テーマを持って仕事に取り組んでいるだろうか?」と、自問するきっかけにもなりました。
小比類巻 キックに人生を捧げてきた自分としては、そう言ってもらえるのは本当にありがたいことです。
綾部 先日、幹部と若手社員が合同で、キックボクシングの練習をしました。その練習の翌日から経営計画の合宿が行われたのですが、社員同士に驚くほどの一体感が生まれたのです。これはきっと、ほかのスポーツでは生まれなかった空気。会社としても、いい意味でキックを利用させてもらっています。
──綾部さんは最後に、こんな話を聞かせてくれた。九州大会の控室で、小比類巻さんが選手全員に“声掛け”をしてくれたのだという。「『さあ行こう!』といったごく簡単な言葉。でも、身体にぐっとパワーが入ったんですよ」。そのとき経営者として、「良くない状況のときにも、場の空気をガラリと変えられるような力をつけたい」と思ったという。キックボクシングは間違いなく、あらゆる面で、綾部さんの人生に大きな影響を及ぼしている。 [KOHI’s NOTE]
・トップの経営者に多く見られる「負けず嫌い」なタイプ。
・1回1時間の練習で効率的に身体を鍛えることができる。
・身だしなみや清潔感も、仕事をするうえでの大事な要素。
・キックも仕事もテーマを持って取り組むことが重要。
OCEANS5月「デニムは、人だ。」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!