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「人に教えてあげたかった」遊びの延長から7億円を損失


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――当時、報道で7億円という損失額を見て驚いた覚えがあります。50万円がなぜ7億円にまで膨れ上がったのでしょうか。

これは結果論なんですよ。

当時、仮想通貨にハマって人より少し詳しくなったことで、「自分だけが得をしているのは後ろめたい」「わからない人に教えてあげたい」という思いがあって。それで周りにも教えるようになったんです。
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そうすると、みんなが頼ってくるようになりました。じゃあ定期的に集まろうとなり、そこでアドバイスめいたことをしているうちに、みんなも詳しくなっていったんです。

「こんな案件がある」とか情報交換をして、どんどんその輪が広がっていきました。成功することもあれば、失敗することもあって。最初は遊びの延長だったんです。

――そこにAさんの話が出てくる。

仮想通貨が暴落の時期に入り、知人からAさんを紹介されました。FXの仕組みなどを説明してもらったんですけど、さすがに自分では運用できないと思って、お金を預けたんです。で、その話をいつもの集まりで言ったら、「すげえ! 自分もやりたい!」って言う人が出てきて、じゃあ直接話を聞いたほうがいいからとAさんを紹介しました。

問題はここからです。僕は紹介しただけで、みんながいくら預けたかまでは知らなかった。さらに誰かがまた別の友人に「これ知ってる?」と紹介していって……。

そしてAさんが姿をくらましたときに、「自分はいくら預けた」「自分はいくら」と話が出てきて、初めて全体像が見えました。結果として、とんでもない金額になっていたんです。

その中には僕から紹介してなかった人もいるんですけど、みんな「木本さんから聞いた話」になっていました。人から人への連鎖の恐ろしさをここで知りましたね。

――全く知らないところで「木本さんの紹介」が一人歩きしていたわけですね。

問題が発覚したあとに「実は木本さんに話がある」という人が出てきて。僕の責任を問うような感じで、正直「知らんがな!」って話なんですが、それは通用しないですよね。むしろタレントとして、この人が週刊誌にあることないこと言ったらどうしようという怖さの方が大きかったです。



――投資を始めてから、そこまでの事態に陥るまでにたった4年しか経っていないと考えると怖いですね。

本当にそうです。自分でも信じられないです。

――魅力的な話がそれだけ転がっているということですね。

そうですね。例えば、報道の最中にも、知人からコロナ関連の投資を持ちかけられたこともあったんです。「2億円集めれば、木本さんには25%の利回りが出る。これを返済に当てられると思います」って。

でも、その知人も騙されていて、善意で持ってきた話なんですが、当時は「アホか! 俺にそんな話するな!」って聞きもしなかったですよ。で、その3カ月後にはその会社が詐欺で摘発されてました。

――木本さんには7億円を集められるだけの力があると思われたんでしょうね。

本当にその通りです。

――ある意味、7億という被害が出たことによって目が覚めたということでしょうか。

「とんでもないことになってしまった……」と目が覚めました。

――今回の経験から、今後投資に興味がある読者にアドバイスをするとしたら何でしょう?

まず大前提として、投資は余剰資金でやること。アバウトに考えるのではなく、自分の収入の何%を遊び感覚でかけられるか、きっちりと線引きをすることが大切です。

それと人にお金を預けないこと。しっかり勉強して自分で理解をしてから投資するのが一番良いのですが、そこまでできないのであれば、きちんとした証券会社の投資信託や新NISAなどを活用するべきだと思います。



あと、これはやりがちなんですけど、人に勧めたり言ったりしないこと。どれだけ今利益を得ていても、僕のようにあとでどうなるかわかりませんからね。

そして日々、株価のチャートを見て「上がった」「下がった」とテンションが左右されるような投資の仕方をしないこと。そういう状態になると、冷静な判断ができなくなります。


焦りや取り返したいという感情に飲み込まれたとき、人は簡単に判断を誤るということを木本さんの4年間は教えてくれた。投資とうまく付き合うためには、相場を読むこと以上に、自分の心をコントロールすることが大切なのだ。

新澤 遥=写真 林田順子=取材・文

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