ハワイのショップで別注した「クロムハーツ」の唯一無二のライダーズ。それを手にした2012年は、のちに棚橋さんからエースの座を受け継ぐオカダ・カズチカ選手が、新日本プロレスの舞台に舞い戻ってきた時期でもある。「若手の台頭もあって、自分自身も気持ちを引き締め直しました。今思えば、自分を奮い立たせる意味を持った買い物だったと思います」。
「IWGPヘビー級王座を連続防衛していた11年は、防衛のたびにクロムハーツを買っていました。新日本が海外進出を始めた頃は、アメリカやイギリスで試合があると現地でスニーカーを購入したり」。
そんななか、23年にはプロレスラー兼代表取締役社長に就任。年齢は47歳を迎えていた。当然、買い物に対する価値観は変化し、モノに宿る力をより実感していく。
「若い頃は尖ったモノや珍しいモノについ目が行きがち。ただ今は、定番品や落ち着いた色みに惹かれます。いいモノを長く使い続けていきたいんですよ。特に“モノの記憶”を僕は大事にします。
例えば30代後半でバリバリやっていたときに買った時計だったら、50代になって着ける際に、あのとき俺、頑張ってたな。よし、もう一丁やるかって、エネルギーが注入されると思う。そこに宿るパワーを僕は信じているし、だからこそ数々の節目でいい買い物をしてきたのだと思います。
チャンピオンベルトだって同じ。巻いてきた選手たちのエネルギー、記憶が詰まっているからこそ、新たなチャンピオンのエネルギー、責任になりますからね」。
棚橋弘至●1976年、岐阜県生まれ。99年に新日本プロレス入門。エースとして団体を牽引し、IWGPヘビー級王座をはじめ数々のタイトルを戴冠。低迷期の新日本を支え、国内外で高い人気を確立。2026年1月4日、東京ドーム大会をもって現役引退した。
OCEANS4月「街角パパラッチ」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!