福岡堅樹(ふくおかけんき)●1992年、福岡県生まれ。幼少 期よりラグビーを始める。筑波大学在籍時に日 本代表に選出。歴代日本代表屈指の俊足を誇 り、数々の勝利に貢献した。2016年よりパナソ ニック ワイルドナイツに所属。15年および19 年のラグビーW杯に出場する。21年に引退し、 同年順天堂大学医学部に合格。現在5年生。
ラグビー日本代表の“スピードスター”として名声を博し、現在は医大生として日々実習に励む福岡堅樹さん。
大学は医学部進学を目指したが、現役合格は果たせなかった。一浪したのち、筑波大学に入学。医学部ではなく情報学群だった。
だがラグビーで行けるところまで行き、そしていつか医者になるという決意が揺らぐことはなかった。逆にその両立こそが〝自分にしかできない道〞だと思ったのである。

「大学2年生のときに日本代表に選ばれました。でも代表のプレッシャーは想像以上で、人生で唯一、ラグビーをやめたいと思った時期でした」。
その重圧を乗り越え、2015年、19年とW杯連続出場を果たす。代表躍進の一端を担ったのが福岡さんの活躍であったことは、疑いようのない事実だ。
そして、ラグビーというスポーツが福岡さんに大きな学びを与えてくれた。

「ラグビーは社会における人間関係の縮図であり、会社組織のようなもの。15人の選手一人ひとりに、明確な役割がある。
自分はその役割に徹して、あとは仲間をとことん信じればいい。チーム医療の重要性が増しているといわれる昨今、医師としてもこの考え方は大事だと思っています」。

21年に見事、医大合格。そして現役として最後となるシーズン、所属するワイルドナイツは福岡さんの活躍もあり、優勝に輝いた。自身にとってもキャリアを通じて初の日本一。まさに有終の美。

「自分は“ポジティブな切り替え”が得意なタイプ。勉強とラグビーの切り替え、オンとオフの切り替え。いい結果もそうでない状況も自分なりに受け止めて、今このときを楽しむことが大事だと思います。
今、医学部で過ごしている毎日が本当に楽しいんですよ。遠回りしたぶん、学ぶ喜びをしみじみと噛み締めているんです」。
OCEANS1月「街角パパラッチ」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!