坂本美雨(さかもとみう)●9歳のときにニューヨークへ移住し、音楽やアートに囲まれた環境で育つ。1997年に歌手デビューし、以降ミュージシャンとして活動。また、テレビやラジオの司会、執筆など幅広く活躍している。
「私にとってウェルビーイングといえば猫なのですが……」。
大の猫好きで知られる坂本美雨さんだが、昨年8月、長年連れ添った愛猫を見送った。2025年は自身にとって14年ぶりとなる猫のいない生活。自身にとってのウェルビーイングについて訊くと、包み込むような優しい口調で振り返る。
「確かに心にぽっかりと穴が空いた感覚はありましたが、ペットロスという感じではありませんでした。
それは15年ほど前から、さまざまな団体の動物愛護の活動のお手伝いを始めたことが大きかったです。最近も地域猫を半年程、家で保護していたのですが、やはりこういった社会活動を通じての動物のウェルビーイングというかアニマル・ウェルネスを続けていきたいと、気持ちを新たにしました」。

坂本さんのウェルビーイングには、どこか自己中心的ではない幸福観が宿る。自分だけでなく身近な周囲が、ひいては世界が幸せに包まれ、みんなが穏やかに暮らせるような世界。パレスチナ・ガザ人道支援活動も、彼女ならではのアクションのひとつ。原風景は自身の幼少期に起因する。
「9歳のときにニューヨークへ移住したのですが、向こうでは自宅のガレージを解放して、子供が自作のレモネードを25セントで売って寄付にするなど、規模の小さなチャリティーが当たり前にあったので自然とそうした意識が芽生えました」。
これから先、新たにチャレンジしたいことについて訊くと「私個人が成し遂げることとしては、特に欲がないのですが」と前置きをしつつ。

「社会的なことはどんどんやっていっていきたいです。例えばそれが保護猫のシェルターなのか、子供のための施設なのかはまだわかりませんが、何かしらそういったことの実現に向かっていくのかなあ、という予感はあります。
そうすることで、少しですが私自身もポジティブに前進している気持ちになるので、実現できたらいいなと」。
OCEANS1月「街角パパラッチ」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!