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部屋の窓からは幾何学模様に刈られた芝と彫像が並ぶ中庭が見える。パリはどこにいても歴史の重みを感じる街だったが、ローマのそれは桁違いだ。

部屋の窓からは幾何学模様に刈られた芝と彫像が並ぶ中庭が見える。パリはどこにいても歴史の重みを感じる街だったが、ローマのそれは桁違いだ。


おれが借りた部屋はパラッツォ・ボルゲーゼ。教皇の足音や枢機卿のため息がまだ残る元宮殿だ。扉をくぐった瞬間に思った。
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「ここは家じゃない。博物館にするしかない」。ローマという地を一室に圧縮した見世物小屋。バチカンに行く必要なんかない。おれの自宅で十分だ。



生活を石膏で満たす計画はシール・トゥルドゥンというキャンドルメーカーにいた2006年頃から始まり、19世紀のものを集め続けてきた。石膏像はビュリーの店に並べたりもした。
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芸術は死なない。耳を澄ます奴がいりゃ生き続ける。

博物館みたいな部屋でどう暮らすか? それはまた今度。今はただ石膏を積み上げる。それがオレの日常だ。
ラムダン・トゥアミ●1974年、フランス生まれ。香水ブランド、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーを立ち上げ成功に導き、その後LVMHに売却し富豪になる。趣味は買い物。特にヴィンテージの家具に目がない。

OCEANS12月「本物だけが欲しいのだ!」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック

ラムダン・トゥアミ=写真 前田亮介=文

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