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すべての写真を見る移りゆく時代に流されず、逆らわない。確たるスタイルと、感度の高いアンテナを併せ持つ。
そんな魅惑のパラドクスを成立させる、ラグジュアリーブランドの定番品をピックアップ。
定番ワードローブという題目に違わぬ、必要十分な6つのカテゴリーで紹介しよう。
「リーバイス」と「ザ・ロウ」のデニム

左から54万7800円/ベルベルジン 03-3401-4666、12万1000円/ザ・ロウ(ザ・ロウ・ジャパン 03-4400-2656)
[左]古着の「リーバイス」キング・オブ・デニムは、アーカイブの説得力において他の追随を許さない。本作はとりわけ高名な「501」のなかでも、1960年代の“ダブルエックス”。
現存する紙パッチに「EVERY GARMENT GUARANTEED」の記載がない、通称“ギャラなし”と呼ばれるタイプだ。
一方で、息を呑むほど見事なアタリやフェード感は、無二を証明するギャランティとなる。グッドコンディションに加え、W32×L29ほどのゴールデンサイズでも物欲をくすぐる。
[右]「ザ・ロウ」ウエスト背部のパッチはおろか、リベットも、バックポケットの飾りステッチすら見当たらず。徹底したミニマルデザインは、永遠を生きる絶対的自信の裏返し。
脚のラインに美しく寄り添うストレートシルエットのリラックスフィット、年を経て風格を増すオーガニックコットンの表情に、卓越したデニム観が凝縮する。
ブランド名の由来になったように、「サヴィル・ロウ」的な洗練のパターニングも必見。圧倒的にクリーンな5ポケットだ。
「ロロ・ピアーナ」と「メゾン マルジェラ」のニット

左から50万3800円/ロロ・ピアーナ(ロロ・ピアーナ ジャパン 03-5579-5182)、34万8700円/メゾン マルジェラ(マルジェラ ジャパン 0120-934-779)
[左]「ロロ・ピアーナ」全面をリブ編みで仕上げたニットは、今季の新顔。では、何が“定番”なのか?焦点は、1800年代初頭に始めた毛織物商としての矜持。その証左となるのがベビーカシミヤだ。
原材料である1歳未満のヒルカス仔山羊の下毛は、1頭当たりの採取量が30gほどの超希少品。なかでも最高品質を確保すべく、約10年の歳月をかけて現地ブリーダーを口説いている。
その極楽的肌触りを持つ繊維を、植物由来の顔料で染色。優しく、深く、毎日を彩る。
[右]「メゾン マルジェラ」2025年秋冬「アヴァン・プルミエール」コレクションの根幹をなす“着尽くすほどに愛された服”。そのクリエイションは、アイコニックなアイテムであるエルボーパッチを備えたウールカーディガンでも表現されている。
パッチ部分には、ダメージのような表情のついたコットンを採用。ショルダー部の擦れたパイピングにも、まさに長く愛され着続けられたかのような趣を感じる。
当然、背面には“4本の白いステッチ”が燦然と、堂々と。
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