連載「40代、なお食べ盛り」とは……スタミナをつけたいとき、またはちょっとしたご褒美に食べたくなる「うなぎ」。だが年々、値上がりが続き、もはや気軽に食べられる存在ではなくなった。
そんなうなぎを、財布を気にせずに思う存分味わえるのが、「兄夫食堂 うな雲」の韓国式うなぎ食べ放題だ。

もともと「兄夫食堂」は、赤坂で長く愛されてきた韓国料理店。庶民的で活気ある雰囲気のなか、本格的な韓国料理が味わえると人気で、壁には有名人のサインがずらりと並ぶ。店内にはK-POPが流れ、まるでソウルの街角にある食堂に紛れ込んだような感覚になる。
そんな人気店のオーナーがある日、「うなぎの食べ放題を出すお店があったら面白いのでは」とが考え、店の一部を改装して、新たに始めたのがこの「うな雲」なのだ。

今回注文したうなぎの食べ放題は、なんと4500円(100分制)という破格の値段! 韓国風の白焼き、蒲焼に加え、豚カルビや前菜のチャプチェ、トッポギまで食べ放題である。
いまどき、一般的な鰻屋の「竹」クラスの鰻重でも3000円を軽く超えることが多いなか、この価格は驚異的。卸業者などの中間コストを極力削減することで、この価格を実現しているという。

食べ放題をオーダーすると、まず運ばれてくるのが白焼き用の生のうなぎが3枚。これを炭火で熱された鉄板の上でじっくりと焼き上げていく。自らうなぎを焼くというのは初めての経験で、これもまた楽しい。

おいしく焼くコツを聞くと「まずは鉄板をしっかり熱し、皮目をカリッとするまで焼くこと。裏返して身に火を通したら、2cmほどの長さにカットし、断面も焼いてください」とのこと。香ばしい香りが立ちのぼり、期待が高まる。

焼き上がりを待つ間に、調理済みの蒲焼も登場。たっぷり2枚がさらに並び、思わず白米を欲してしまうが、ここは食べ放題。ご飯でお腹を満たしてしまわぬよう、追加オーダーはグッと我慢である。
さて、肝心の味だが、使っているのはシンガポール産のうなぎ。身がしっかりと締まり、むっちりとした弾力が特徴だ。国産うなぎのふっくらとした食感とは異なるが、臭みは全くなく、これはこれでおいしい。

焼きたての白焼は、ニンニクの香りを効かせた醤油ダレやコチュジャン、塩、山椒などにつけて味わう。火が通るにつれて、最初のむっちりとした歯ごたえだが、次第にカリッとした食感へと変化していき、まるで乾き物を摘むような軽やかさがあり、酒がすすむ。

そして、ぜひ試してもらいたいのが「うなぎのサンチュ巻き」だ。
ブッフェスタイルのカウンターには、サンチュ、玉ねぎ漬け、行者ニンニクを漬けた「ミョンイナムル」、大根や白菜のキムチ、唐辛子の醤油漬けなどがずらりと並ぶ。頼めば生ニンニクのスライスと青唐辛子も持ってきてくれる。

サンチュの上に白焼きをのせ、これらのトッピングをお好みで添えて包むと、唐辛子やキムチの辛味や酸味、サンチュの瑞々しさが一体となり、思わず「こんな贅沢なうなぎの食べ方があったのか」と驚くはずだ。
サンチュによる後味のさっぱり感に加え、トッピングの量や種類を変えれば味わいが微妙に変化をするので、飽きずにいくらでも食べることができる。うなぎ12枚を食べ切った猛者もいたという話にも納得である。

せっかくなので、豚バラ肉もオーダー。さまざまな醬を混ぜ合わせたオリジナルのタレにつけ込まれた豚肉を鉄板に乗せると、じゅうじゅうと食欲をさらに刺激する香りが漂ってくる。肉厚ながらも柔らかな食感と、ほのかな辛味のあるタレの味があとを引く。ごま油と塩に漬けてもよし、サンチュに巻いてもうまいと、こちらもさまざまな食べ方を楽しむことができる。

ちなみにうなぎにはDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、悪玉コレステロールを減らして、善玉を増やす働きがあると言われている。キムチは発酵食品、唐辛子には代謝を高めるカプサイシンが含まれている。スタミナをつけながらも体にやさしい、まさに体が気になるオーシャンズ世代にうってつけの食べ放題と言えるだろう。
スタミナを補給しつつ、罪悪感なく食べ放題を楽しみたい人は、ぜひ足を運んでほしい。
[店舗詳細]兄夫食堂 うな雲住所:東京都港区赤坂2-13-17 ミントミ赤坂2ビル4F電話:03-5575-3883営業:10:00〜翌5:00(LO4:30)