オリジナリティはどこから生まれるのか?

今回の展示に限らず、HAROSHIさんの創作スタイルには一貫したポリシーがある。それは、“探す”のではなく、“自分の過去から掘り出す”という姿勢だ。
「若い人から『オリジナルな存在になるには?』と聞かれることがあるけど、自分が熱くなったことや、夢中になったことの中にしかヒントはないと思う」。
今回の作品群も、自身が影響を受けてきた’90年代のカルチャーや、スケート時代の体験のコラージュ。無理に何かを新しくしようとせず、過去の熱量を作品へと変換している。

「スケート始めた当時、カルチャーとか全然気にしてなかった。アートなんて胡散くさいと思っていましたし(笑)」。
その言葉どおり、HAROSHIさんにとってスケートボードは純粋な楽しみだった。しかし今、アーティストとして過去を振り返ると、街の中でスポットを探し、ボードの角度やリズムを工夫すること。それは既に表現だったことに気付く。
「やってるときは無意識。でも、今振り返ると全部創作だったんですよね」。

「これからは、スケボーの枠にとらわれずに、もっと自由に表現していきたい」。
年末にはアート・バーゼル マイアミで、服を素材にした巨大なパッチワーク作品を発表予定。こけしやそろばんなど、スケート以外のモチーフにも積極的に取り組んでいる。
変わる素材、変わらない信念。「壊すこと」と「創ること」は、決して矛盾しない。今日もまた、HAROSHIさんは新しい再構築に取りかかっている。
7/8