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アーティスト「SIRUP」さんの深層に近づいてみた


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――ライブ現場ということで、楽曲の創作について伺いたいのですが、普段インスピレーション源はどんなところから?

SIRUP 生活ですね。ほんとにシンプルに、今の自分の暮らしとか、感じていることとか。飲みに行ったり、遊んだり、日常の中で自然と出てくる感情がベースになってます。

社会のことも含めて、“生きてるときに感じたこと”を曲にしてる感じですね。モノや風景というより、コミュニケーションとか会話の中から生まれることが多いかな。創作って“考える”というより“感じる”方が大きいかもしれない。
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――今回のイベントは、「人間であること」を体感するというテーマでした。AIの進化や、ボットによる買い占め、フェイク情報の氾濫など、いろんな問題が広がっていますね。

SIRUP あ、ニュースで見ました。たとえばアバターの世界とか、どこまでが本物かわからなくなるような感覚って、なんとなくイメージとしてありましたね。

――AIが進化すればするほど、人間である証明みたいなものが求められてくる時代になるとも言われています。

SIRUP それ、面白いですよね。その人間である証を、デジタルを使って逆に表現していくっていうアイデア、すごく新しいと思うし、深いなって。今回のイベントの体験もファッションも、ボットやAIではなく“本物の人間に届けたい”っていうメッセージも、僕はすごく共感しました。



――ライブでもリアルの空気感を大事にされてましたよね。

SIRUP 便利さやテクノロジーの進化ももちろん大事ですけど、人間が“どっちに向かっていくか”って、全体の話というよりも、個人の在り方に分かれていくんじゃないかって思ってて。リアルに全振りする人と、デジタルに全振りする人。きっと、そうやって分かれていく時代がくるんじゃないかと、何年か前から感じてたんです。

今はまさに、その間でみんなが揺れてる状態というか。今回も、その葛藤を感じる空気があったなって、勝手に思ってました。



――まさに、そういう時代だからこそ、SIRUPさんのような“体験を届けるアーティスト”の価値がより強くなる気がします。

SIRUP ライブって、体験そのものですからね。そして、体験こそが一番、人間の脳に残るデータだと思ってるんです。将来、もしかしたらデジタルで脳に直接刺激を送るようなことができるようになるかもしれない。でも僕自身は、きっとそういう方向にはいかないと思う。

リアルに触れて、感じて、それを届ける。その方が、自分にとって自然なんですよね。

長田 慶=写真 ビームス=ライブ写真 池田鉄平=取材・文

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