リリースは10月22日(水)。「デザートブーツ」3万4100円/クラークス(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 050-8893-4217)
▶︎すべての写真を見る「デザートブーツ」は今年、生誕75周年を迎えた。この記念すべき年にユナイテッドアローズが仕掛けた別注がリリースされる。
その別注モデルはブラックのグレインレザー、ゴアテックス、ガムライトというスペックを採用している。それはひとえにシーン、シチュエーションのボーダーレス化を図ったものである。こいつならオンシーンにも溶け込み、悪天候にも耐えるだろう。
バイヤーによれば、トップラインを肌当たりの良いデザインにしているところもこだわった部分という。
見逃せないのが、レースステイにあしらわれたピンキングだ。
そのピンキングは「デザートブーツ」を下敷きに1956年に誕生したローカット、「デザートカーン」のファーストモデルにみられた意匠である。
ピンキングが意味するもの

「デザートカーン」はスエードをまとった外羽根の2アイレットにクレープソール、そしてステッチダウン製法というコンストラクションはそのままに、シャフトを大胆にカットしている。
ローカットにしたことで軽快感が増した、スニーカーのように履ける、というレビューがみられるが、そもそもがカンファタブルなフットウェアである。丈の違いでそんなに履き心地が変わるものではない。
佇まいは確かに「デザートブーツ」のそれなのに、あるべきパーツがないという意外性こそがそのモデルの魅力であり、知る人ぞ知るモデルとして愛され続けてきた理由だろう。くるぶし丈のボトムと合わせればそのままソックスがアクセントとして機能する、というスタイリング上のメリットもあった(「デザートブーツ」の場合は裾をひと折りしなければならない)。
クラークスはそこになぜ、ピンキングを入れたのか。ミニマルを極めて評価されたブランドであり、その一手は逆行しているようにも思える。
これは推測の域を出ないけれど、シャフトの不在を補う役割を担わせたのではないか。そう考えれば辻褄が合う。
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