鈴木 うれしいですね。食事の提供は、3代目である父と母の代から。実は、母の出来心がきっかけでした。
渡辺 と言うと?
鈴木 私が小学生の頃に店の改装をしました。当時はこの辺、ランチ難民が多かった。で、母が「うちには魚があるからいけるはず」ってランチ営業を企んだようです。ただ祖母には一度反対され、内緒のまま決行。最初はカウンター7席だけでしたが、しだいに席数が増えていきました。
渡辺 お母さん、相当な“やり手”だ。
鈴木 今振り返っても、すごい行動力。母の強行突破がなければ、今の「魚力」はありませんから。
渡辺 なめろうのほかにも、“カミ”か“シモ”と部位が選べる「さばみそ煮」が名物。そして、それらのメニューが書かれた札もユニーク。裏返すとくじの番号が書いてあって、当たると小鉢がいただける。
鈴木 あれは私のアイデアなんです。最初は東急ハンズで買った“寿シール”を札の裏側に付けていたんですが、ズルする人が出るようになって。
渡辺 裏側を手で触れば、シールが貼ってあるかわかっちゃいますよね。
鈴木 そうなんです(笑)。
渡辺 ほのぼのしていて、すごくいい。あと、札の字がすごくキレイ。店内の注意書きもそうですが、いったい誰が書いているんですか?
鈴木 うちの妻です。ちなみに、なめろうの味噌の配合も、彼女が改めてレシピ化してくれたんです。
渡辺 ずっと家族経営で、実は女性が鍵を握っている。面白いな〜。これからも変わらず、おいしい魚料理を食べさせてください!
——帰り際の玄関先には、笑顔で手を振る4代目の奥さま、薫さんの姿も。舌と心に温もりを残す老舗に、遠くない再訪を誓う。 「魚力」住所:東京都渋谷区神山町40-4電話番号:03-3467-6709営業:11:00〜14:15L.O.、17:30〜19:30L.O.定休:日曜、祝日(※水曜日はランチのみ営業)uoriki83 OCEANS11月「やっぱりデニムは、人だ。」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!