OCEANS

SHARE

マイベスト② だしと麺 遊泳の「ヒヤニク」


advertisement

2軒目にご紹介するのは、「だしと麺 遊泳」。同店も「HiyaChu」と同様、間借り営業からスタートし、独立への道のりを歩んできた。

具体的には、2021年10月より西早稲田のワインバルにて週に数日だけ間借り営業を展開し、コアな支持を獲得。その後、2023年7月31日、東高円寺駅(東京メトロ丸ノ内線)近くの路地裏に独立店舗を開業。営業時間の幅が広がりアクセスも飛躍的に向上したことで、早々に長蛇の列ができる人気店となった。

そんな「遊泳」の店内は、カウンター席を中心としたコンパクトな空間。無駄を削ぎ落としたラボラトリーのような静寂が支配し、老若男女を問わず訪れる客はただ一心に丼と向き合う。
advertisement

 

開業から丸2年を迎えた2025年夏は、不動の看板メニュー「油そば」に加え、「ヒヤニク」や「冷やし油そば」などの多彩な冷やしメニューを揃える。券売機の前で思わず目移りしそうになるかもしれないが、まずは「ヒヤニク」を味わっていただきたい。

商品名は、日本蕎麦の人気店「角萬」の「冷やし肉南蛮(通称・ひやにく)」を彷彿とさせる禁断のフレーズ。“ひやにく”の4文字だけで、麺好きの心を躍らせるに十分だ。



澄みわたる出汁スープから立ち上る艶やかな香気に、嗅覚が悦びに打ち震える。鰹と昆布の滋味が凝縮され、コク深い醤油がそれらを後押しする味わいは、ひと口で頬が緩むほどの完成度。「これでもか!」と言わんばかりに盛り付けられたジューシーな豚バラ肉も、丼に独特の景色を与えている。

この出汁スープに合わせるのは、「もち姫」が配合された自家製極太麺。弾力豊かな食感はタコの足のようで、食べ進めるにつれてスープが麺肌へと沁み入り、味の奥行きをさらに加速させる。

「角萬」の「ひやにく」は荒々しさが魅力だが、「遊泳」の「ヒヤニク」は、荒々しさに加え、ほど良い洗練も垣間見せる。冷やしラーメンとして類を見ない独自性も、特筆すべき同品の魅力。「冷やしラーメン」と「冷やし肉南蛮」の長所を鮮やかに融合させた、必食の1杯だ。
だしと麺 遊泳
住所:東京都杉並区高円寺南1-6-5
営業:17:00〜21:00(夏季7〜9月は夜営業のみ)
定休:月・火・金曜
Instagram:
@dashi_to_men__yu_ei
4/4

次の記事を読み込んでいます。