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マイベスト① 冷やし中華専門店 HiyaChuの「油淋鶏」


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 それでは、私がお勧めする「冷やしラーメン」を紹介しよう。最初にご紹介するのは、「冷やし中華専門店 HiyaChu」。

同店は、2019年2月、ニューヨークのポップアップストアで盛況を博した「創作冷やし中華」を携え、溜池山王にてひっそりと誕生。その後、六本木一丁目を経て、2020年4月に吉祥寺へと移転。日々研鑽を積み重ね、“冷やし中華の実力店”としての名声を着実に高めてきた。そして、2023年7月27日、満を持して西荻窪の地に居を構え、現在に至っている。

吉祥寺時代までは他店の間借り営業だったが、現在は看板を掲げた堂々たる独立店に。昼の部は「冷やし中華専門店 HiyaChu」として、冷やし中華を単品で提供し、夜の部はレストランバー「HIYACHU BAR群青」として、スープ・冷菜・温菜を楽しんだあとの“締め”に冷やし中華を提供する。冷やし中華のみに狙いを定めるのであれば、昼の部での訪問がオススメだ。
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現在(2025年8月時点)、同店が提供するのは、「ブラックビネガー」、「グリーンソース」、「うにクリーム」、「油淋鶏」の4種類。基本メニューはリストの筆頭に据えられた「ブラックビネガー」だが、特にオススメしたいのは「油淋鶏」。

こちらは「ブラックビネガー」と同じソースを用いながら、鶏肉を油でカラリと揚げたボリューム感あふれる油淋鶏をトッピング。ソースの「冷たさ」と油淋鶏の「熱さ」が絶妙なコントラストを生み出し、五感を心地よく刺激する逸品だ。



ソースをすすり上げると、酸味を抑えた円やかな味わいが味覚と嗅覚を優しく潤す。黒酢とゴマ油が溶け合い、涼やかな香気をまといながら最後のひとすすりまで鼓動を刻む、まさに冷やし中華の真骨頂とでも言うべき味わい。

サクサクとした食感の油淋鶏から溢れるジューシーな肉汁が黒酢の雫と一体と化し、口内をうま味の奔流で満たすサマは、抗いがたいほど魅惑的。食べ進めるにつれて、鶏のエキスがソースの表情に野趣を添え、箸を持つ手が止まらなくなる。

かくも高品質な一杯が、時季を問わず通年で味わえる贅沢はほかにない。至高の味わいに舌鼓を打ち、幸福な時間をじっくりと噛み締めたい。
冷やし中華専門店 HiyaChu
住所:東京都杉並区西荻南3-8-10 2F
営業:11:30〜15:00(14:30 L.O.)
定休:5〜9月は水曜、10〜4月は日〜水
X:@HiyaChu_JP
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