連載「トッププロが数珠つなぎ!「俺たちレーメン's」」とは……ラーメン界のスペシャリストたちにこの夏おすすめの「冷やし麺」を紹介いただく本企画。4回目となる今回は、有名ラーメンアワードの審査員を務める尾瀬さんが登場。通算1万軒以上のラーメン店を訪れたマニアが惚れる絶品3軒とは……?
【写真19点】「総訪問数10000軒のラーメンマニアが惚れた絶品冷やし麺3選」の詳細を写真で見る 案内人はこの方!
尾瀬 惇●2020年よりTRYラーメン大賞の審査員を務める。自身のブログ「尾瀬のラーメン手帳」管理人。ラーメン好きなサラリーマンとして、20代の頃から全国を47都道府県を2桁以上食べており、継続して全国を巡る。これまで訪問したラーメン店は1万軒ほど、これまで食べたラーメンは1万5000杯ほど。
はじめまして、尾瀬と申します。18歳の頃からラーメンを食べ始め、はや20年余年。現在は「TRYラーメン大賞」の審査員を務めております。
活動エリアは関東が主ですが、遠方への食べ歩きも好んでおり、20代の頃から積極的に地方巡りを繰り返しています。わざわざ遠方まで足を運ぶ理由って、やっぱり各地方に根付く食文化に触れたいからに尽きるのですよね。
特にラーメンはその土地にある素材で、需要に応じて多様化していった食べ物。当然、冷やしラーメンにも“ご当地”と呼ばれているものが存在するわけです。
戦前に40度を超える灼熱日を記録した山形県山形市では「栄屋本店」「栄屋分店」などが提供する冷しらーめんが有名。同じく東北の内陸に位置する福島県の会津坂下町でも冷し文化(水らーめんとも呼ばれる)が広がります。「食堂いしやま」で頂いた感動は今でも覚えていますね。
静岡市藤枝市も暑い日用として冷たいラーメンを供しており、祖である「マルナカ」を中心に温冷を揃えた店が数多く存在しているわけです。
1軒目は上記に該当するわけではないですが、少し“ご当地の息吹”を感じる店から紹介したいと思います。
マイベスト① 超多加水自家製手揉み麺 きたかた食堂の「平打冷やし肉そば」

まず紹介するのは、地下鉄神保町駅のすぐそばにある「超多加水自家製手揉み麺 きたかた食堂」さん。
店名から読み解ける通り、日本三大ラーメンの一つである喜多方ラーメンを供するお店です。ただ割とアレンジ色も強めなので、新感覚の喜多方ラーメンとして楽しむのが良いかも。
さて、提供された「平打ち冷やし肉そば」のビジュアルが非常に清涼感を呼び込んできますね。醤油ダレの色合いを強く反映したスープに極太の麺が見え隠れ。大量にトッピングされた親鶏、そして葱。丼の淵に添えられているのは梅肉です。シンプルな見た目ですが、少ないアイテムでも十分に楽しめることを雄弁に語りかけてくれています。

スープはほんのりと甘味を有しつつも後味は軽く、いつまでも飲んでいたくなる感覚。梅肉による酸味が程よい変化をもたらし、食欲増進の効果も十分に発揮しています。平打ちの手揉み麺は、冷えても硬くなりすぎず、もちもち感とぐにっと感が共存。

親鶏のこりこり感と葱のシャキシャキ感など、トッピングの異なる食感を楽しむことができます。少なめのアイテムすべてに明確な役割が設けられ、それらがすべて職務を全うすることでレベルが一段引き上げられた名杯と言えますね。

冒頭でお話した“ご当地の息吹”についてですが、このメニューは山形県河北町にある「いろは本店」にある「冷たい肉中華」に共通するところがいくつか散見されました。完全に一致するわけではないですが、“東北らしさ”を感じるために訪問していただくのも一つの楽しみ方かもしれません。
名物のサイドメニューは「トロたくちらし」。こちらも美味なので、是非セットでどうぞ。
超多加水自家製手揉み麺 きたかた食堂
住所:東京都千代田区神田神保町1-6
営業:11:00〜21:00 土日祝は〜20:00
定休:なし
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