「メンズ・バギーズ・ロング 7インチ」9900円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス 0800-8887-447)
連載「The BLUEKEEPERS project」とは……環境保護の最前線を走るアウトドア企業「パタゴニア」。その姿勢は製品作りにも表れており、リサイクル素材を積極的に取り入れていることは、これまでにも紹介してきた。
たとえば、
定番人気の「バギーズ・ショーツ」も、廃漁網から作られたリサイクルナイロン「ネットプラス」が使用されている。
今回はその「ネットプラス」にフォーカス。パタゴニア日本支社で長く環境部門を担当する篠 健司さんに、素材誕生の背景や想いについて話をうかがった。
【写真9点】「実は100以上のパタゴニア製品に使用!廃漁網由来の『ネットプラス』が切り開く海洋保護の未来」の詳細を写真でチェック 話を聞いたのは……
篠 健司さん⚫︎篠健司さん●パタゴニア日本支社ビジネス&インダストリー・エンゲージメント・マネージャー。再エネを含む物品・サービスの責任ある調達、製品寿命時のリサイクル・プログラムの構築などの推進。これらの取り組みを通じて得られたベストプラクティスを、他社や業界全体へと広げる活動にも注力している。
廃漁網を資源に変える「ネットプラス」、その背景にあるサステナブルな視点
「ネットプラス」は、アメリカのスタートアップ企業「ブレオ社」が開発。南米・チリをはじめとした漁村で不要になった漁網を買い取り、チップにリサイクルしてナイロン素材として再生するというものだ。
この取り組みが始まったのは2014年。パタゴニア・チリがブレオ社の活動を知り、環境系スタートアップへの投資を行う傘下の会社「ティンシェッド・ベンチャーズ
※」経由で出資を行ったのがきっかけだった。
「ブレオ社の魅力は、廃漁網をリサイクルすることで石油への依存を減らすだけでなく、地域の漁業コミュニティを支援し、新しいインフラの構築に貢献している点です。今ではチリに加えて中米、北米にも回収エリアが拡大しています」(篠さん)。
単なるリサイクル素材ではなく、製造過程や地域社会への配慮、そして人々の暮らしにまで目を向ける。それがパタゴニアの素材選びの基準だ。ネットプラスは、まさにその条件をすべて満たしている。
[手前]「メンズ・ダウン・セーター」3万8500円、[奥]「メンズ・グラナイト・クレスト・レイン・ジャケット」 3万8500円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス 0800-8887-447)
パタゴニアは、ブレオ社以外にも複数の環境系スタートアップに投資している。
「たとえば『トローブ』という会社もそのひとつ。サーキュラリティ(循環型)の仕組みを作り、現在では多くのブランドがそのシステムを活用しています」(篠さん)
こうした環境インパクトの大きい取り組みを他社にも広げていく姿勢が、パタゴニアの真骨頂。ネットプラスも例外ではなく、今ではナイキやロンハーマンなどのブランドもこれを採用している。
また、パタゴニアはペットボトル由来のリサイクルポリエステルから徐々に移行している。その理由について、篠さんはこう語る。
「私たちは、環境への配慮だけでなく、社会的な価値を生み出せるかどうかも重視しています。使用済みペットボトルからリサイクルポリエステルを作ることは、石油への依存を減らし、環境保護につながる大切な取り組みです。
ただ、ペットボトル由来の繊維は、すでにリサイクルの仕組みが整っている国や地域で回収されたものがほとんど。私たちは、そうした安定したリサイクル環境ではなく、まだインフラが整っていない地域にこそ目を向け、その循環の仕組みを一緒に作っていくことが重要だと考えています」(篠さん)。
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