名店④ なごやめし・玉子とじラーメンの元祖!「萬珍軒」

本コラムのラストを飾るのは、「萬珍軒」。
店舗の場所は、名古屋市営地下鉄桜通線・太閤通駅から徒歩2分程度。同駅は名古屋駅のすぐ隣の駅なので、名古屋駅から歩いて15分程でアクセスすることも可能だ。
「萬珍軒」は、創業半世紀を超える中華料理店の老舗。餃子、炒飯、天津飯、海老チリなど、繰り出す料理のラインナップは幅広いが、冒頭で申し上げたとおり、同店はご当地グルメ・なごやめしのひとつ、「玉子とじラーメン」の生みの親(元祖)。来訪客の大多数が同店へと足を運ぶのは、この「玉子とじラーメン」が目当てだ。

玉子とじラーメンは、屋台から始まった同店が、現在地へと移転し実店舗を構えた1968年に開発・商品化されたもの。三河鶏のガラと豚骨を10時間以上の時間を掛けてじっくりと炊き上げた動物系出汁に、溶き卵を掛け合わせたスープが、数十年にわたり数多くの食べ手を虜にしてきた名品中の名品。
創り上げる際の工程をカウンターから観察させていただいたところ、どうやら出来上がったスープに卵を溶かすのではなく、カエシ(タレ)に卵を溶かし込み、十分和えたあとに出汁を注ぎ込んでいる模様。

玉子とじのキメが非常に細やかで、かつ、スープのどこをすすっても玉子要素が希薄な部分が見当たらないのは、上記のように製作工程にひと工夫凝らすことで、ベースのスープと玉子とじとが、不可分一体として感じられるようにしているからだ。
このスープに合わせるのは、糸のように細いストレート麺。玉子とじを存分に絡め取り、口元へと運び込む役割を果たし切る、この1杯の名バイプレイヤー。
カエシから放たれる分かりやすいうま味も相まって、箸とレンゲを持つ手が止まらず、あっという間に丼を空けてしまった。
休日の夜ともなれば、店の外に50名規模の行列が発生するほどの人気を誇るが、それを押してでも訪問する価値がある優良杯。珠玉の味わいをじっくりと噛み締め、是非、名古屋の食文化の魅力に浸っていただきたい。