電力や水素などを使い分け、海の脱炭素の実現を目指す
「海のEV化」を牽引する「HARMO」。
以前からヤマハは、陸地を走る自動車の約10倍のエネルギーが航行に必要となるマリン商品は「バッテリーによる電動化技術だけではカーボンニュートラルを達成できない」と捉えてきた。
そこで短距離航行は電動、長距離は水素やバイオ燃料の活用という使い分けが必須と考え、多様な可能性に向き合い開発を続けている。
一例は「HARMO(ハルモ)」だ。電動モーターを動力として船を航行させる操船システムである。
小樽や徳島の観光周遊船など、優雅に船上タイムを楽しむ環境で実証実験を重ね、今年から国内市場に投入される。
環境意識の高まりが見られる欧州を中心とする市場を想定し開発が進められた「HARMO」は、20年8月から北海道小樽市の小樽運河クルーズで実証運航を開始。22年に欧州で先行販売された。
先日のボートショーでは新型が発表。6月からは日本市場にも投入されることになった。
最たる特徴は電動ならでの静粛性だ。
「ものすごく静かであることが、日本と欧州で高く評価されました。その強みを活かせるひとつの方法は観光船。エンジン音に邪魔されないため、船内アナウンスをクリアに聴くことができるんです。
またトルクがあるので40人ほどを乗せてもしっかりと船を押し、内海や運河での活用ニーズは今後さらに高まるものと想定しています」。
エンジン回り以外でも環境に優しい取り組みを多く展開。写真はデッキに亜麻繊維が使われた水上オートバイ「SuperJet」の試作品。通常プラスチック材にガラス繊維やカーボン繊維を用いて強度を得るが、それらの代わりに亜麻繊維を活用。植物由来素材の実用化に向けた研究・開発の一例。
パワーが10馬力ほどのため速さに乏しく、波や風、うねりなど抵抗がとても大きな外洋に出られないところは伸びしろと捉える。
なにせ販売計画は2年間で20台を売り上げるというもの。価格も300万円を超え、一般的なガソリン仕様の船外機と比べると桁がひとつ違う。
「年間で500台、600台と売れるようになれば値段もぐっと下がるはず」と、普及には時間がかかると予測する。
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