©2025「花まんま」製作委員会
有村架純さんとの共演で話題を集めている映画『花まんま』は、大阪の下町で暮らす加藤俊樹(鈴木亮平)と妹のフミ子(有村架純)の、兄妹による不思議な記憶を巡る物語。
劇中で繰り広げられる関西弁での会話が実に小気味よく、その魅力を堪能できるのも見どころのひとつだ。兵庫県出身の鈴木さんにとってはネイティブだが、ちょっと事情が違ったようで。
「関西弁って地域によって微妙に違うんです。僕の出身は兵庫の中でもかなり大阪寄り。関東で言うところの川崎ぐらいでしょうか。
川崎の言葉と江戸の下町の言葉って、発音や会話のスピードとか、ちょっと違うじゃないですか。だから方言指導の先生に一日だけついてもらい、台本を全部チェックしながらイントネーションを整えていきました」。
鈴木さん自身は3人兄弟の真ん中。兄弟の関係について訊くと、俊樹と同じく妹への愛情を教えてくれた。
「すごく可愛くて大好きだったんです。ちょうど俊樹とフミ子くらい年齢が離れていて。親が共働きだったこともあって、オムツを替えることはもちろん、保育園に迎えに行ったりしていました。
なので、妹の子育てには一緒に参加したような気がしています。いくら抱っこしても足りないくらい可愛いと思う感覚は、大人になった今でも残っています。兄妹ってそういうものですよね。
俊樹とフミ子も、今の自分の兄妹間と似ていて、あまり干渉し合わないといいますか、兄妹としてお互いが気持ち良い距離感になっていて、そこはリアルだと思ったんです。愛し合っていて、信用し合って一緒に育ってきた距離感があってのリアル。
『好きだよ』って、いつもニコニコしているより、最初から当然のようにいるほうが愛情なのかなって。本作では、関係性的にそういうふたりにしたいなと思っていました」。
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原作の短編小説ではテーマが凝縮されていたが、本作はストレートなヒューマンドラマでありながらも、ファンタジーが差し込まれているなど、多様な演出を駆使し、人間模様がみずみずしく描かれている。
「小説も素晴らしいですが、ここにはまた違う魅力が詰まっています」と続ける。
「物語がとても感動的なので、日本中に届けたいですね。一見すると兄妹や家族の愛や絆だけの話かなと思うかもしれません。実際にご覧になっていただくとわかると思いますが、それだけではないんです。
命の尊さや家族の絆、さらには人が成長していく過程におけるコミュニティの重要性など、大きなテーマがたくさん隠されているので、ぜひ映画館に足を運んで、いろんな感情を抱いていただきたいです」。
最後に、劇中では“一生のお願い”を請うシーンが何度か出てくることに絡め、鈴木さん自身が今“一生のお願い”をするなら、と訊いた。
「旅が好きなので飛行機代が少し下がったらうれしいです。実現したらたくさん旅行に行きたい」。
旅の延長でダイビングをしたら、次回はその話を聞かせてほしいと伝えた。すると白い歯を見せながらあの笑顔でこう返ってきた。
「どうですかね。ダイビングのことは正直忘れかけていたので、そこは乞うご期待ということで(笑)」。
俳優 鈴木亮平●1983年生まれ、兵庫県出身。主演映画『花まんま』が全国公開中。本作は、2005年に第133回直木賞を受賞した朱川湊人の短編集『花まんま』を、有村架純さんとの共演で映画化したもの。
OCEANS 6月「トレンドよりも、スタイルを。」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!