奥さんにねだられて
スペルガはスイスのエンジニア、ウォルター・マルティーニが1911年にイタリア・トリノで創業したタイヤ製造業、ウォルター・マルティーニ・ラバー・カンパニーがそのルーツだ。タイヤの事業を軌道に乗せると、1914年には潤沢なラバーを使ってレインシューズをつくり始める。そうして1925年に誕生させたのが「2750」だった。
なんとも微笑ましいエピソードだが、そのシューズはテニス好きの奥さんにせがまれてつくったそうだ。当時のテニスシューズはロープ製で、1試合履けばボロボロになってしまうほど耐久性に難があった。ウォルターは海の向こうで話題になっていたバルカナイズ製法の生産体制を整えた。
ブランド名は世界遺産のスペルガ聖堂から採った。会社は聖堂を見上げる麓に位置していた。いつかは頂点に立つ――大志を抱くウォルター青年にとって聖堂はその象徴だった。
1951年にタイヤメーカー、ピレリの傘下に入ると、生産足数はおよそ20年で6倍の1200万足に達した。1962年にはイタリアを代表するグラフィックデザイナー、アルべ・スタイナーの手になる現在のロゴが完成する。

ブランドの土台ができあがると、スペルガはテニス業界と蜜月の関係を築く。かくしてアドリアーノ・パナッタやイワン・レンドルが足下の相棒に選んだ。
奥さんのためにつくったテニスシューズがのちに世界の舞台で駆け回る――。胸のすくような物語であり、「スペルガ 1925」はそんな物語を一本一本紡いできたスペルガの頂点だ。
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