
ひと昔前であればキレイな色落ちや天文学的金額の年代物デニムに需要が集まった。今であれば往年モデルの復刻やワイド、ブーツカットといったシルエットのアイテムが人気だ。
しかし、フリーランスとして活躍する佐藤惟吾さんはそんなデニムには目もくれない。手にしたのはいわばマニアが素通りする“非レアモノ”。しかも、インディゴブルーとブラックを対で揃えているというのだから面白い。
【写真24点】「天邪鬼なファッション業界人が愛する“非レア・リーバイス”」の詳細を写真でチェック 紹介してくれたのは……
佐藤惟吾(さとう・ゆいご)●アパレル企業や繊維会社にて企画やバイイングを経験し、その後転職。現在は複数ブランドの商品企画や生産管理、プロジェクトプランナーとして活動している。最近では、“三枚目なデニム”に没頭中。
必要だったと実感する固定観念を壊す作業
佐藤さんのファッションの目覚めは、古着ブームの熱が冷めやらぬ2000年前後。今でも着こなしのベースにあるのは古着だが、決してそれ一辺倒ではないところがポイントだ。

「当時、シーンではN.ハリウッドの尾花(大輔)さんが注目され、古着の知識を活かしつつ、現代的に仕上げたアイテムがとにかく人気でした。僕も惹かれていましたね」。
さらに佐藤さんは、「以前から好きだった」という映画からも影響を受け、自身のアイテム選びや着こなしの糧としてきた。

「ヴィンセント・ギャロが出演していた『バッファロー’66』とかすごく好きでしたね。作中の役に影響を受けてトイレを我慢していました(笑)。あとは『ブラウン・バニー』も。彼に憧れて、ブーツカットのデニムを買うようになりました。彼はジャストや短め丈で着こなしていましたが、僕は大きめのサイズを買い、裾をズルズル引きずりながら街をブラブラしていました」。
そうして構築されたファッション観だが、当時を振り返ると「偏っていたかもしれない」とポロリ。視野が広がったのは、アパレル企業の門戸を叩いてからのことだ。


「僕の在籍していた会社では、ヨーロッパ系のブランドも多く扱っていました。それもあって、デニム=アメカジといった思い込みは払拭され、フラットな目線で見られるようになったんです。
『色が美しくタテ落ちしている』『ヒゲやアタリがしっかり出ている』といった要素よりも、サイズ感や丈を気にするようになり、キレイに見えるデニムっていいなと思い始めました」。
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