「マニュアル変速時のシフトギアはスポーツカーらしく、手前がプラス、奥がマイナスに変更されています。グラベルやレーストラックに対応した走行モードの装備に加え、ラリーやジムカーナでの車両コントロール用途を視野に、GR-DATを搭載した車両にも手引き式パーキングブレーキを有償設定している点はさすがです!」。
肝心の変速はどうです?
「一般道ではツインクラッチほどの瞬時なダイレクトさは試乗シーンでは感じられず。トルコンらしいパワーロスを感じる場面も。
スポーツモードやトラックモードでは積極的にシフト制御が入りますが、公道ではシフトアップのラグが、どうしても気になる。あくまで公道においては、ですけれども」。
「プロドライバーとともに視認性&操作性を磨き上げた専用コックピット。従来機よりも操作パネルとディスプレーをドライバーに約15度傾け、さらに良好な視界の確保のためにドライビングポジションを25mm下げているというから驚きです。さらに直感で競技中も操作しやすい物理スイッチ類も、まさにモータースポーツ由来」。
なるほど。そういえば、流行りのツインクラッチ式ではなく、トルコン式ですよね?
「そこが興味深いですよね。なめらかな始動性やクリープ走行、変速時のショックが小さいというのがトルコン式ATの特長です。
例えば、マツダはトルコンレスATを実装していますが、GRヤリスはあえてトルコンを選んでいる。メーカーごとのアプローチの違いが面白いですね。
競技用として造られた車なので、パドルシフトでステアリング操作に集中できるほうが、タイムを縮めやすいってことですが。グラベルのような不整地での走りははたして……」

どんな人に向けた車だと思いましたか?
「モータースポーツへの入り口というか、ハードルを下げてくれる存在。一方で、AT限定で免許を取る人の中からこの車を求める人が一体どれだけいるのか?」。
おぉ、核心をつきますね。
「グラベルでぜひ、このGR-DATのパフォーマンスを試してみたい。今回の公道試乗で俄然、そう思った次第です」。
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