テラサイクルジャパン代表 馬場恒行氏
テラサイクルジャパンは2024年12月、代表がエリック・カワバタさんから馬場恒行さんに交代した。
馬場さんは日本生まれだが、小学校卒業後、親元を離れてニュージーランドに単身移り住み、ラグビー選手として活躍。大学卒業後に帰国して、現在でもラグビーは現役という経歴の持ち主だ。
帰国して思ったのは「日本はきれいな国だ」ということ。
「小学校などでは、自分たちの教室は子供たちが掃除するでしょう。そういう習慣はニュージーランドにはなかった。他の多くの国でも、あまり例がないようですね」。(馬場さん)
自分たちの居場所は自分たちできれいにするという意識がそうした経験で培われていると、馬場は推測する。だから、街中でごみが散らかっているというようなことはまれで、どこも清潔に保たれている。
「でも、集められたごみがどのように処理されているかまでは、知らない人が多いのではないでしょうか」と、馬場は問題提起する。「実は分別回収されたごみも多くが焼却されていると知れば、皆さん
驚かれるでしょうね」。(馬場さん)
「ごみ箱(資源回収箱)」の完成イメージ。
回収したプラスチック製容器を原材料にした板材から「ごみ箱(資源回収箱)」を製作し万博会場へ提供する。このプロジェクトは、テラサイクルが、イオン及びP&Gジャパンと協働で取り組んでおり、万博開催の1年半も前から一般の消費者が回収の協力者として参加している。
ごみ(資源)の分別やリサイクルに対する意識向上、持続可能な資源循環について考えるきっかけを創出するプロジェクトは、カワバタさんからパスを受け取った馬場さんにより進められている。
「燃やすごみ」「燃やさないごみ」「紙ごみ」「プラスチック」「かん・びん」「ペットボトル」「ペットボトルキャップ」の7つのカテゴリーごとにボックスを作り、一つのごみ箱となる。
プロジェクトのストーリー(上)と七つの分別(下)を異なる面で表現している。
またボックスをジグザグに組み、7つのカテゴリー分別に加え、プラスチックのリサイクル過程などプロジェクトのストーリーをイラストで表現し、その視認性やデザイン性を高めている。
ごみ箱に掲出された2次元コードを読み取ると、イラストで表現されているリサイクル過程の動画を見ることができ、視聴後には大阪・関西万博のキャラクター・ミャクミャクのフォトフレームが出現し、ミャクミャクと一緒に写真撮影ができる仕掛けも用意している。
テラサイクルジャパンが提供する4つのごみ箱は、万博会場のシンボルである大屋根(リング)の下に設置される予定だ。
「国内外から多くの人や企業関係者が来る場で、この消費者や企業がみんなで一緒に取り組んで廃棄物を循環させるサステナビリティープロジェクトを知ってもらいたい」と馬場さんは力を込めて前を見据える。