テラサイクルジャパン理事 エリック・カワバタ氏
使い捨ての文化を見直し、循環型経済にシフトした生活様式を定着させようと、産官学の垣根を越えたプロジェクトに挑み続ける「
テラサイクルジャパン」が、大阪・関西万博で「これからのごみ箱(資源回収箱)」をデザイン。
開幕前から消費者を巻き込み、世界に発信するプラスチックごみの資源循環モデルとは。ごみそのものの概念を覆す取り組みに迫った。
【写真12点】「世界に発信するプラスチックごみの資源循環モデル。大阪・関西万博で考える『これからのごみ箱』」の詳細写真をチェック「使い捨てをなくすこれからのごみ箱」

イオン店内での回収箱による回収の様子。
「大阪・関西万博で生まれ変わる!」「空容器を集めて再生に参加しよう!」。呼びかけのメッセージが書かれた回収箱は、流通大手「イオン」グループのスーパーに大阪・関西万博前の今も設置されている。
洗剤や柔軟剤、ヘアケア製品など使用済みのプラスチック容器を買い物客らから集め、万博会場に設置する資源回収箱の原料にする。リサイクル材からリサイクルのためのツールを作り出す取り組みだ。
テラサイクルジャパンとイオン、日用品メーカー「P&Gジャパン」がタッグを組んで企画した。
「普段は捨てている使用済みプラスチック空き容器を店舗に持ち込むことで、誰もが万博に参加できる。みんなで力をあわせれば、ごみを資源に変え、循環型社会の実現につなげられることを、万博を通じて日本から世界に示したい」。
テラサイクルジャパン理事、エリック・カワバタさんの思いは熱い。
打ち合わせの様子。
「捨てるという概念を捨てよう」。これが、テラサイクルのミッションだ。
まずは、プラスチックなどの資源を回収し、再生させるプラットフォームづくりに着手。物流や加工など一連の請負業者を探すなか、マテリアルリサイクルを手掛ける業者が日本は少なく、ひときわ苦労した。
商談にこぎつけると、信用を得るために何度も足を運んで対話を重ねた。並行し、行政や企業に出向き、理念やビジネスプランを説明してまわる日々。
その努力が実り、たばこ販売会社や化粧品メーカーなどと連携し、回収リサイクルプログラムを始めた。吸い殻のフィルターを灰皿やクリアファイルに、化粧品の空き容器をスパチュラ(へら)に再生させ、来店客に配布するなどの取り組みを実施し発信していった。
だが、消費者への広がりは緩やかだった。回収量が増えないとリサイクルのコストもかかる。
「家でちゃんと分別しているから、責任は果たしている。日本の消費者の多くはこう思い、なかなかプログラム参加の必要性を感じてくれない。回収だけを呼び掛けてもだめだ」とカワバタさんは考えた。
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