ほぼフルレストアしながらもこだわった、古き良き風情
まさに運命的な出合い。迷わず購入を決めたが、ミッションに不具合があったり、足回りが機能していなかったりと、実際に運転するまでには問題が山積。それでも引地さんは諦めなかった。
「もとより手はかかるであろうことは予想していました。ただ、いろいろ調べてみると思った以上に深刻。なので、まずは走れるようにするためにいろいろ手を加えました。もう大手術ですよ(笑)」。

とはいえ、当時の風情に魅了されて購入を決めただけに、デザインは極力残すよう努めた。
リア上部からルーフを高くした特徴的なラインはもちろんのこと、内装の随所にあしらった高級感が滲むウッドパネルとレザーのコンビもしっかり残している。引地さんのこだわりはさらに細部にまで。
「この年代ならではの細いハンドルは残したいと思っていました。陽に焼けたような色味がまたいいんですよ。極力ミラーも変えないようにして、外側に残ったサビも意図的に一部分は残すようにしました」。

「タイヤももちろん全替えはしていますけど、昔ながらのホワイトリボン(ホイールを縁取るような白の丸いライン)があしらわれたものにすることで、当時の雰囲気は活かすようにしています」。

当時は快適なドライビングに定評のあったセドリック。タイヤへのこだわりもあってかそのソフトでゆったりとした乗り心地は今なお健在。アメリカ車をお手本にしていたとされるだけに、アメリカ製ホイールとの相性も抜群である。
5/5