「勝たないとカッコつけられないじゃないですか」

会えば誰もが惚れる。ひと言で言えば、小田凱人とはそういう男である。
爽やかで真っすぐ。世界を舞台に活躍する車いすテニスプレーヤーであり、ヒップホップとファッションが大好きな普通の18歳でもある。そのギャップにグッとくるのだ。
「タキシードやスーツは結構着るんですよ。セレモニーに出席する機会も多いので。
言われてみれば、スーツとテニスはどこか通じるところがありますね。どちらも襟付きの白いシャツを着ますし、イギリスが発祥だし。クラシックなイメージも共通しているといいますか」。
小田の私服はイケイケのラッパーのような、ストリートとラグジュアリーをミックスしたスタイルだ。だからスーツが好きだというその言葉にも、いい意味でのギャップを感じる。
スーツは着慣れているのだろう。今回のダンヒルのスーツもサマになっている。私服良し、スーツ良し。もちろん本職であるテニスの服装にもこだわりを持っている。
「昔ながらの要素をどこかに取り入れたいんですよ。ハチマキ(タイプのヘッドバンド)もそうですし、長めのソックスもそう。
どこかクラシックな匂いのする格好なのに、誰も見たことがないプレーで観客を魅了する。そういうのが、カッコいいじゃないですか」。
小田が言うところの「七三分け」も個性のひとつ。高校1年生からこのヘアスタイルで通している。
「もっと前からやりたかったのですが、中学校のときは先生方が厳しくて(笑)。プロ宣言してからはずっとこの髪型で、試合前にカットしています。
地元(名古屋)の『ゴールドピット』というバーバーに、いつもお願いしている人がいて。試合前は東京で練習してから海外に行くので、その人にわざわざ上京してもらっています。やっぱり、直前に切りたいですから」。
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