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あとを絶たない、残忍な事件に憂慮する日々


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助けられる人がいるなら放っておかない。優しい目の奥に光る鋭い眼差しから、日下さんの決然とした思いがひしひしと伝わってくる。だが、いまは自分の事業拡大に集中するため、犯罪防止の活動は休止中だという。

「大阪の事件でひと区切りついたと感じ、僕は退きました。そのとき、一緒に動いていたメンバーは今も活動を続けていますよ。今後2~3年をめどに、またひとりで動き出そうかなと思ってますね」。

現在は闇バイトも横行。正視に耐えない残忍な事件はあとを絶たないどころか、ニュースで目にする機会が増えた印象がある。日下さんもそんな現状を憂慮しているという。
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「これ以上、治安が悪くならないことを願うばかりですが、若い子が犯罪組織の犯行に巻き込まれる事件も増えてますよね。理容室に来るお客さんの子供が通う学校の周辺に不審者がいるとか、そういう話を聞くこともあります。

僕がいろんな事件を未然に防ぐことができたのは、地域との関係や警察との連携、遠隔にいるメンバー間で情報を共有するシステムを構築してたから。警察じゃなくても人を守ることはできる。それは断言できます。

犯罪が起こりづらい環境をどう整えていくのか、地域全体で真剣に考える必要があると思います」。



先の時代を見据えて、日下さんが取り組みたいことの一つに後継者の育成があるという。

「人助けをしたい人って、世の中に結構いるものなんです。だけど、どうやったらいいのかわからない。闇雲に取り組んだり、承認欲求でやったりすると目的がブレるし、逆に危険なんで。しっかり学びたい人がいたら、僕が仕事として教えるのでぜひやってみてほしいですね。特に過去にやんちゃをしていた子はいいですよ。その経験は必ずこの世界で活きますから」。

取材中「人の役に立てるなら、できることはやりたい」と繰り返した日下さんだが、実はカットの料金も驚くほど破格の設定にしている。フェードも可能なメンズカットに、シェービングとクイックスパ付きのシャンプーもろもろ込みで4500円。新規にいたっては3000円だ。いくら何でも身を削りすぎでは……。



「新卒の人からお小遣い制のお父さんまで、気軽に通える金額にしています。僕ひとりが食べていける分は稼げていますが、人を雇うことはできないですね(笑)。家族もいますし、夜間営業も体には良くないことがわかったんで、事業を拡大して自分自身の生活に余裕を持つのが目下の目標です」。


感情の抑揚を見せず、淡々と語り続けた日下さん。「命をかけて思い切り生きる」という自分との約束を守るべく、ひたすら前進し続けている。

変わりすぎているキャリアが参考になる人は少ないかもしれないが、もし響くものがあったなら、彼のいる「バックアレイ」を訪れてみてはいかがだろう。

豊田和志=写真 ぎぎまき=取材・文

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