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大阪・準強制性交等事件を未然に防いだ過去


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日下さんには、東日本大震災とは別に深く刻まれた、どうしても忘れられない記憶があるという。

「地元にいた頃、友人の女性が性犯罪被害にあったんです。元カレにお金も体も要求され続けて、精神はボロボロ。僕が仲介に入ってなんとか引き離すことができたんですが、SNSを開けば、不特定多数による犯罪を匂わす投稿が目に余る。まったく他人事には思えませんでしたし、インターネットを利用した犯罪が増加するんじゃないかと危惧していました。

ほどなくして起きたのが神奈川県・座間市の殺害事件です 。許せなかったですね。格闘技と警備のノウハウを本気で活かせばどうにかなるんじゃないかと、あの事件を機に、本腰を入れて犯罪防止に取り組むようになりました」。
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※ 2017年10月、神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件。女性8人は性的暴行を受けたとされ、被告を強盗・強制性交殺人と死体損壊、死体遺棄の罪で起訴。男女はSNSを通じて知り合った。



まず、日下さんが始めたのはSNS上のパトロール活動。犯罪を匂わせる書き込みをチェックし、情報を収集。犯罪性が高ければ、証拠を集めて警察に通報する。ただし、第三者の立場を超えないよう、依頼があることが条件。実際、犯罪グループに潜入し、犯罪事件を未然に防いだ実績もある。

「2020年の話ですが、大阪市の飲食店で店主を含めた男3人が30代の女性に対し、性的暴行を企てているという話が耳に入りました。参加者を募っていたので、僕は身分を装い、犯人グループに近づいたんです。LINEでやりとりされていた犯行日時と集合場所、段取りの情報を入手して、警察に通報。犯罪性が高いと判断した警察が、現場に捜査員を送ってくれました」。

女性の酒に睡眠薬を入れ、乱暴するという卑劣極まりない犯行は、犯罪グループに潜入した日下さんの行動により阻止された。犯行直前に飲食店に乱入した捜査員によって3人の男の身柄は拘束され、逮捕。そのあとに起訴され、被害女性も無事だったという。

「このニュースは全国紙で報じられ、素人の自主捜査は共犯に問われかねないと指摘もされました。世間からは“正義マン”だと、揶揄されもしました。だけど、なにか起きてからじゃ遅いんですよ。それに尽きます。逮捕されても仕方ないと思っていると、当時受けた取材でも答えたと思います。

ニュースにならないだけで、未然に防いでいることはほかにもたくさんあります。死にもの狂いで犯罪を止めようと思えば、結構止まるんですよ。その覚悟が僕にはあるというだけです」。
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