名店② 昔ながらの佐野ラーメンを支える老舗「赤見屋本店」

続いて紹介するのは、「赤見屋本店」。同店の創業は、1954年(昭和29年)。
90年以上の長きにわたり営業を続けてきた「宝来軒」が昨年9月に閉店するなど、多くの老舗が店主高齢化等のため惜しまれながらも暖簾を畳み続けている昨今、「赤見屋本店」の健在は、佐野ラーメンを愛する食べ手・作り手にとって、ひとつの大きな精神的支柱となっている。
場所は、JR・東武鉄道の佐野駅南口から徒歩約5分ほど。数ある佐野市のラーメン店の中でも、特に公共交通機関でアクセスしやすく、佐野市内のラーメン食べ歩き初手(1軒目)の店としても大いに活用できる。
加えて、私が数回訪問した経験から申し上げれば、同店は、「森田屋総本店」「青竹手打ラーメン日向屋」「らーめん大金」といった同格の実力店と比較して、待ち時間が相対的に短いため、食事にあまり時間はかけられないが、食べるラーメンは絶対に外したくないという方々にとっても、最適な1軒だ。

食すべきは、メニューリストの筆頭を飾る「中華そば(ラーメン)」。価格は、この物価高のご時世においてたったの700円と極めて良心的だ。
澄み切った褐色のスープは、動物系素材(豚&鶏)のうま味をしっかりとその身に宿しつつ、香味野菜の甘味も相まって、レンゲを持つ手が止められない驚異的な引きの強さを発揮。その味わいを存分に楽しんだあと、ゴクリと嚥下すれば、極上の滋味が喉元を起点に五臓六腑へとじわり沁みわたる癒し系。

麺も規格外のクオリティを誇る。創業以来、佐野ラーメンの伝統的製麺技術である「青竹手打ち」の製法を頑なに守りながら作られる自家製麺は、一本として同じ形状のものがない、完全なハンドメイド。シルクのように軽快なすすり心地と、ピロっと心地良い食感を合わせ持つ、芸術性さえ感じさせる逸品だ。
佐野ラーメンの枠にとどまらず、1杯のノスタルジックラーメンとしても、超一流の域にまで到達している。佐野市に佐野ラーメンを出す店は多いが、「赤見屋」と似たタイプのラーメンが存在しない点も、同店の存在価値の向上にひと役買っている。ここまでの要素が揃った名店。足を運ばないという選択肢は存在しないだろう。
赤見屋本店
住所:栃木県佐野市久保町214
営業:11:30〜17:00
定休:木曜日
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