ルノーの“王位継承者”が地を這うモンスターへ
1960年式ルノー「ドーフィン」
最後に紹介するのは、ENEOSがSEMAショー2024の出品作を募ったコンテストで、見事優勝した1960年式ルノー「ドーフィン」だ。
ドーフィンといえば、丸味を帯びたシンプルなデザインの、いかにも万人に愛される小型実用車というキャラクターなのだが、優勝車は地を這うモンスターマシンへとキャラ変されている。
ボディ後部に2.8Lのフォルクスワーゲン製6気筒エンジンを搭載。「VR6」と言えばピンとくる人もいるかも!?
本来ボディ後部に収められているエンジンの排気量は、845cc。その代わりに搭載されたのは、その3倍以上の2.8Lエンジンだ。もちろん、チューニングされており、最高出力は230psに達する。
そんなパワーを後輪に伝え、安定して走らせるために、オリジナルボディから22インチ(約56cm)も張り出したフェンダーを装着してタイヤを収めた。
また、一般的なキャビン内だけでなく、前のバンパーから後ろのバンパーまでロールケージで補強され……とまあ、色々。
左右で22インチ(約56cm)も外へはみ出したフェンダーにフロントに幅275mm、リアに幅315のタイヤが収まる。
それにしても、フランス語で“王位継承者”に与えられた称号が車名の由来といわれるドーフィンを、ここまで気品とは無縁のマシンに仕立てた男とは何者か?と言えば、元海軍の軍人のジャスティン氏。
彼は2019年に退役すると「好きなものをできる限り最高の方法で作る」ために、日本やイタリア、フロリダ、カリフォルニア等を回って車のトレンドを探っていたそうだ。
オリジナルのインパネなど、独特の世界観のあるインテリア。
そんなカーガイが「砂漠から引き上げた」というドーフィン。どこの砂漠なのか、そもそも本当に砂漠なのか……?
経緯はさておき、第2の人生を踏み出すことになったドーフィンも、一般庶民の足とは大きく異なる新しい人生を楽しんでいるかも知れない。