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ハイテクに対抗するアウトドアシューズ



 では次に僕の予想を。まずこれを見てもらおうかな。アシックスとグリップスワニーのコラボで、アトモスと共同開発したモデル(「GT2160」)です。

こがけん なんですかこれ。すごいスニーカーですね。

 企画から一緒に参加して、デザインについてもいろいろと意見を出しました。
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小島 平くんはグリップスワニーのアドバイザーも務めているので、そのつながりもあって。

こがけん なかなか見ないカラーリングですね。



 グリップスワニーはアウトドア用のグローブメーカーで、ブランドのキーカラーがイエローなんですよ。

こがけん なるほど。そう言われると、この色にも合点がいきました。マイナスに捉えてほしくないんですけど、いい意味での“現場靴”感がありますね。めちゃくちゃ渋い。ギア感がすごいというか。

小島 既存のランニングシューズがベースなんですけど、インラインのほうは白とか、シルバーカラーなんですよ。まったく印象が違いますね。



こがけん これはカッコいいですよ。アレンジがすごい。

 こだわりポイントがいくつかありまして。スプラッシュと呼ばれる細かい模様が入っているんですが、それが全部リフレクターになっているんです。またパーツのところどころにスエードを使っていて。

小島 ランニングシューズを、トレイルランニング風に思いっきりアレンジしてみたんですよ。クイックシューレースシステムを採用したり。

 それから前回のコラボモデルに使用したカモフラージュ柄を、中敷に使っています。



こがけん なるほど、コラボの歴史というか、ストーリーもつながっていると。

 そして、そのカモフラ柄をよく見ると、グローブが隠れているんです。

こがけん 可愛いですね〜。 これこそ言っとかないと誰もわからない(笑)。やっててよかったこの収録!

 今年はトレランシューズや、こういうトレランライクなスニーカーが来るだろうなと。そしてアウトドアブランドやファッションブランドとのコラボものにも、引き続き注目したいですね。さらに言えば、アシックスというブランド自体の人気も続くと思います。



こがけん 一昨年くらいから、アシックスやサロモンがぐっと伸びてきましたよね。それこそ海外から火がついて。

 おっしゃるとおり。小島くんも言っていましたが、歩けて、走れて、アウトドアでも使えるスニーカーがいいんですよ。それでいて街で履けるデザインのもの。一足で二度美味しい、三度美味しいスニーカーじゃないと、みんな買ってくれないから。

こがけん パンツの裾で隠さずに、ソックスをちゃんと見せつつ履いてみたい。このスニーカーは映えますよ。いい!

 ありがとうございます。今年のスニーカーを占ううえで、もうひとつ注目したい靴を持ってきました。それがこのティンバーランド(「エメ レオン ドレ × ティンバーランド ヘリテージ GTX モックトゥ ミッド」)。



小島 これは僕も気になっていました。

こがけん 本当にカッコいいっすね。いろんなタイプのレザーで切り替えていて、高級感があります。ちなみにおいくらですか。

 3万円ちょっと(3万1900円)だったかなあ。昨年の10月に出たんですよね。箱も、収納用の袋もカッコいいんですよ。



こがけん ラグジュアリー感がすごいですね。

 レザーとボールチェーンのチャームも付いてるんですけど……あれ、見当たらない。家に置いてきちゃったかな?

こがけん いやいやチャーム置いてきた、って。今日収録本番ですから(笑)。

 失礼しました(笑)。ティンバーランドといえば「イエローブーツ」や「ユーロハイカー」のコラボが昨年話題になりました。今年はこういうモカシン系のモデルが、ファッションとしてもカッコいいんじゃないかと。こがけんさんもお好きじゃないですか? 同時発売で黒も出たんですが。



こがけん 僕も茶が好きだなあ〜。でもこれで3万円ちょっとというのは、お安いですよ。で、エメ レオン ドレという名前はですね、ジュテーム、お父さんの名前のレオン、そして本人の名前であるセオドアの……(と、ブランド名の由来を語り出す)。

 勝手にブランドアンバサダー(笑)。やっぱりエメ レオン ドレはブランドとして注目だし、今年も何かしら出るであろうコラボスニーカーも、当然注目すべきです。

小島くんが予想したパフォーマンスランが伸びてくる一方で、こういうクラシカルなシューズもまた、戻ってくるんじゃないかって。

小島 確かに原点回帰の流れはありますね。モノが溢れ返っているから、その反動で。



こがけん 日本ではまだその波が来ていないのかもしれませんが、アメリカや世界では今、ティンバーランドがとんでもない人気なんですよね。昨年のアディダス「サンバ」レベルの人気。なのでこれはもう完全に、絶対に来ると思います。

小島 先日ニューヨークのチームに「今何がいいの?」と聞いてみたんです。返ってきた答えが「白×白の(エア)フォース 1」。つまり多種多様なスニーカーが溢れているので、逆にオーソドックスがいちばんカッコいい、みたいな認識なんですよ。



 やっぱりコンバースの「オールスター」が最強、みたいな感覚ですかねえ。

こがけん でも僕は、その流れには意地で抗っていきますよ。基本的にトレンドは追いかけないので!

 そうそう、自分流でいいんですよ。
4/5

“原色ブーム”は果たして来るのか



こがけん 2025年のブレイクスニーカー予想ですよね。僕はちょっと多めに持ってきましたので、バババッと説明していきたいと思います。前回の「2024年のベストスニーカー」と同じく、どれもお気に入りばかりです。

小島さんのランニングシューズ、平さんのアウトドアシューズという流れを受けて、まずはこちらのサロモン(「カー / ラート ド ロートモービル×サロモン XT-4 & スピードクロス 3」)から。


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小島 「カー / ラート」なんて呼ばれていますね。

こがけん そうです。デザインは90年代のレーシングカーからインスパイアされたもの。「カー / ラート」のデザイナーは、もともとはフランスのカーディーラーなんです。無類の車好きで、いろんなところに顔が利いて、おしゃれなんですよ。

そうだ、ちょっと待ってください(と言って「カー / ラート」のキャップを取り出す)。



 おっと、キャップを替えましたね。ちょっと被り方を直しますね。一応本職はスタイリストなので。

こがけん ありがとうございます。何が言いたいかというと、「カー / ラート」はモノ作りにすごくこだわるブランドだということ。このキャップも型から作っていて、車の刺繍もめちゃくちゃ凝ってます。フォルムも上品じゃないですか。モードな服だったり、それこそタクシードと合わせても渋いなと思えるような。

このサロモンもレーシングカーからインスパイアされたという話ですが、日本の歌舞伎の色使いにも通じるところがあります。



 確かに、歌舞伎の隈取りみたいなカラーリングだ。

こがけん で、このサモロンの流れからの、ナイキです。

小島 「エア マックス 1×ジャックムス」ですね。



こがけん そのとおり。このジャックムス、原色赤の1色使いですよね。先ほどのサロモンも赤と青の原色。で、ナイキとNIGOさんのこれ(「エア フォース 3 LOW × NIGO」)も、原色のマルチカラーなんですよ。



 NIGOさんのはすごくこだわってますよね。

小島 遊び心が半端ないです。

こがけん 箱もいいですし、中には“N”のワッペンも入っている。このワッペンで5000円くらいするんじゃないかって(笑)。このサロモンと、ナイキの2足を例にして言いのは……みんな今、なぜか原色を避けているのでは?ってことなんです。



小島 (うなずきながら)確かに、モノトーンの流れが長かった。原色ではない中間色や、アースカラーも多いように思います。

こがけん そこなんですよ。改めて僕が持っているスニーカーを眺めてみると、インラインよりもコラボが多いんです。コラボものは基本的にトレンドを追いかけることなく、自分たちが提案したいものを作るじゃないですか。

 確かに。



こがけん 本当に売れ筋を作ろうを思ったら(「サロモン」と「エア マックス 1×ジャックムス」を手に持ちながら) こういうカラーリングにはならないはず。それでもこういう強い色を出してきているってことは、2025年は原色がトレンドに入ってくるだろうと。

おそらく海外でのブームが先に起きて、日本はそこから1年、2年ずれていくだろうなと思いますが。そしてもうひとつの予想はこちら。ミズノの「ウエーブプロフェシー モック」です。



小島 この靴は、僕も傑作だと思います。

 これもコラボモデルですか?

こがけん 最近リリースされたインラインです。最初に出たのは黒の表革で、それは発売まもなく完売でした。

小島 アッパーはアナログでソールはハイテク、という組み合わせですね。



こがけん 見た目はもちろん履き心地も素晴らしい。ホールド感もしっかりあって。ローファーをモチーフにしたニューバランス「1906L」も大人気でしたし、こういう“スニーカーブームのカウンター”となるようなシューズが、今後流行っていくだろうなと。



 その感覚で言うと、最近コンバースがウエスタンブーツ(「オールスター ウエスタンブーツ ST Z」)を出しましたよね。こがけんさん絶対好きですよ。

こがけん えー、本当ですか。それは買いたい。買おうかな。そして最後はこちら。パコっていう、新しいサンダルブランドです。



 昔ながらのサボを、現代的なデザインと素材で再構築した感じ。革靴好きなら誰もが知るシューズブランド、フット ザ コーチャーの竹ヶ原敏之介さんが手掛けています。

こがけん そのとおり。サボもまた流行の兆しがありますしね。素材に、サステナブルな天然のラテックスを使っているのもいい。

このサンダルが面白いのは「脱いだときに裏返して置ける」という点。サンダルって、 例えば軒下に置きっ放しだったりしますよね。雨が降れば中に水が溜まったり。

でもこのサンダルは履き口がまっすぐにカットされていて、安定して裏返せる。裏返して置けば、内部はいつもクリーンな状態というわけです。



小島 なるほど!

こがけん こちらはダブルタップスとのコラボなんですが、上から見るとすごくシンプル。でもサイドから見るとオレンジが利いていて、ソールの形状も楽しい。ベランダや庭に置いたときに絵になるので、おすすめです。 

こんなラテックス素材のシューズも、今年のトレンドの一角を担うであろう……という予想でございました!


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