俳優 坂東龍汰
▶︎
すべての写真を見る 今いちばん乗っている若手俳優のひとりである。
坂東龍汰さん、27歳。2025年1月に公開される映画『君の忘れ方』で、初の映画単独主演を果たす。婚約者を亡くした悲しみから立ち直る主人公・昴を繊細に演じ、新境地を切り拓いた。
「脚本が斬新だったんです。大切な人との死別をテーマにした作品は多くありますが、展開とスピード感が違う。最初に別れがあり、その後恋人だったふたりの姿が描かれるんです。
監督のこの作品に対する自信みたいなものを感じました。そして僕は、昴というキャラクターを演じてみたいと思い、迷わずオファーを受けました」。
主演という重要な役割に対して、不安な気持ちもあったに違いない。
「死別というセンシティブな題材に、どういう立場で向き合えばいいのか。昴の心の変化を、どのように演じればいいのか。クランクインする前に監督と食事をする機会があり、そんな不安を正直に打ち明けたんです。
でも監督は“考えすぎず、昴は(坂東さんの)主観で演じてください。我々スタッフはその昴を追いかけます”と言ってくれて。肩の荷が下りたような気がしました」。
とはいえ約1カ月の撮影期間は、昴を演じるうえでさまざまな感情が押し寄せ、その精神状態は浮き沈みの激しいものだったという。
「タフでしたが、充実した時間でもありました。スタッフ一人ひとりが意見を持ち、妥協することなく映画作りに向き合っている環境が心地良くて。僕も言いたいことを言えましたし、とてもいいチームでした」。
明確で溌剌とした話し方。そこに、デビュー8年目を迎えた俳優という仕事の、充実ぶりがうかがえる。
「僕にとってこの仕事の面白さは“人との関わり”。子役から年配の俳優まで、いろんな人間がひとつの作品に携わる。だからこそ丁寧にコミュニケーションをとる必要があると思うんです。
演じることはある意味当たり前で、加えて“自分がこの役をどう捉えているか”を、ほかの俳優に伝えるスキルも大事だなと。ひとりでやる仕事ではないので」。
2/3