1974年にティファニーのデザイナーに就任したエルサ・ペレッティは、1980年代の初めからホームコレクションも手掛けるようになった。クリップ部分が印象的なボールペンはスターリングシルバー製。2万7500円/ティファニー(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク 0120-488-712)
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… ▶︎
すべての写真を見る 考えごとや打ち合わせをしたりするときに、メモを取ることが増えました。デジタルではなく、紙に書くのもいいなと最近また思い始めていて、そうなるといいペンが欲しくなる。これはモノ好きの習性ですね。
以前、奥さんにティファニーの「ボーン カフ」というバングルをプレゼントしたことがあるのですが、手首の骨の形状に沿った優美なデザインが本当に美しく、それ以来デザイナーのエルサ・ペレッティのアイテムを定期的にチェックするようになりました。
今回も探してみたら、いいボールペンを発見。見た瞬間、さすが!と思いました。
ペン本体はすっきりした普通のボールペンなのに、クリップ部分だけが独創的にデザインされています。つまり胸ポケットに挿したら、ポケットの外側に涙のようなフォルムの有機的な曲線が見えるという仕組み。気が利いていますよね。
エルサ・ペレッティがティファニーのデザイナーに就任して、今年で50周年なのだそう。
「オープン ハート」や「ビーン デザイン」など、ティファニーのアイコニックなデザインをたくさん生み出していますが、決してロゴを大きく打ち出したりはせず、ただデザイン力だけで勝負しているところがすごい。
僕はもともとブランドロゴがどーんと入っているようなアイテムが苦手で、シンプルだけどディテールにこだわりがあるものが好き。
どこどこのブランドで買ったとわかるより「そのデザインいいね、どこの?」と聞かれたらうれしい。そこから始まる会話のほうがずっと楽しいはずだし、そうした会話のきっかけになるようなものをいつも身に着けていたいです。
このボールペンを見ていると、ロゴなんかなくてもデザインだけでブランド哲学は表現できるんだということに改めて気付かされます。
藤井隆行●東京を代表するブランド、ノンネイティブのデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「寒くなってきたので、冬モノの物色中。日々、ショップ巡りをしていますが、やっぱり買い物って楽しいですね」。