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父との海での時間が現在にいたる原風景

さて、日夜カイメン研究と向き合う伊勢さんだが、そもそもの海のルーツは、画家で潜水士の父とつくられた。

子供時代を過ごした三重県・南伊勢町は海が身近にある地域。よく父に連れられ海へ行き、生き物について教わったと振り返る。

「父はアワビやサザエ、タコといった食べられる生き物だけでなく、見た目がきれいなタカラガイなど、いろいろな生き物について教えてくれました。それが海の世界に興味を抱いた原点。僕の原風景ですね」。

大学院の恩師のすすめで本格的にカイメン研究の道に入ると、それまで以上に各地の海へ。拠点も神奈川の三浦半島、三重県鳥羽市、マレーシアのペナン島、沖縄、高知と移しながら、潜るたびに新しい生体現象を発見。

海の神秘、生命の神秘を体現する生き物カイメンによる底なしの沼に深々とハマりつつ、研究者としての毎日を送っているのだ。

Getty Images=写真 小山内 隆=編集・文

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