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もしもシトロエン「SM」が、50年間正常進化を遂げていたら

シトロエン「SMトリビュート」。トリビュート元のSMと、全長や全高はほぼ同じサイズ。全幅は140mm拡大された。

DSオートモビル「SMトリビュート」。トリビュート元のSMと、全長や全高はほぼ同じサイズ。全幅は140mm拡大された。


まずは、シトロエンの高級ブランドとして2014年に誕生したDSオートモビルのコンセプトカー「SMトリビュート」から。 

今年9月に発表されたこのコンセプトカーは、その名の通りシトロエンの往年の名車である「SM」のトリビュートとして生まれた。

左がSM。まるで宙を浮いているように走る、独特の乗り心地はクセになる人が多い。

左がSM。まるで宙を浮いているように走る、独特の乗り心地はクセになる人が多い。


ご存知の人も多いだろうが、SMは1970年にデビューしたアバンギャルドな一台だ。他社のような立派なフロントグリルがなく、後輪が隠されたエクステリアがまず画期的。

さらに、ヘッドライトがステアリングを切った方向へ向いて行き先を照らしてくれたり、そもそも“魔法の絨毯”と評されるような、シトロエン独自の乗り心地を提供してくれるサスペンションシステム「ハイドロニューマチック」を備えるなど、中身も革新的で、今も中古車は高いプライスタグを掲げている。

当時の大統領専用車としても採用されたが(特別仕様のオープンカー)、残念ながらわずか5年で製造が中止された。 

そんなぶっ飛んだ車が、今もしも後継車があったら!? そんな50年後の正常進化形態として作られたのがSMトリビュートというわけだ。

SM同様、後輪が隠されているが、ちょっとだけ上も見せている。

SM同様、後輪が隠されているが、ちょっとだけ上も見せている。


SM同様、後輪は隠しときますね〜と言わんばかりに、タイヤは上と下をちょっと見せるだけ。

プラスチック系素材で覆われたフロントに収まるヘッドライトは、もはや“点の集合体”だ。きっと進行方向をサッと照らすのも、簡単にやってのけるのだろう。

センターコンソールの湾曲した極薄パネルが斬新。ここにカーナビ画像などが投影される。

センターコンソールの湾曲した極薄パネルが斬新。ここにカーナビなどが投影される。


メーターパネルも、センターコンソールに備わる湾曲したパネルも、ステアリングの中も、ディスプレイに見える部分はすべてプロジェクターだ。

つまり各種情報がパネルに投影される仕組み。なぜなら「そのほうが乗員の没入感を高めるから」と同社の技術者は語っている。

古代人が描いた太陽のように、放射状の模様がドアの内側にレーザー彫刻によって刻まれる。

古代人が描いた太陽のように、放射状の模様がドアの内側にレーザー彫刻によって刻まれる。


50年前の時点で“前衛的”だった車を、今より先の未来までぶっ飛ばしたら、確かにこうなるのかも。

レトロ(SM)が夢見たフューチャー(SMトリビュート)の姿、発売予定はまったくなさそうだが、(良い意味で)変態的なシトロエンが大好物な著者としては、ぜひとも発売を待ちたい一台だ。


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