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深夜3時から砂抜きを始め、最終的には9時間以上も仕込みに時間をかけてシジミの旨さをギュッと凝縮。そんな手間暇と濃厚エキスをかけても、味はどことなく控えめ。

さすがに中毒性のようなものはないが、味噌汁と漬物がついて800円というのは今どきにしては格安。あくまで目立ちたがらないバイプレイヤーを彷彿させる奥ゆかしいヤツだ。



これだけでも十分満足できるボリュームだが、シジミメニューからもうひとつ、「しじみかきあげ」を注文してみた。

玉子が多めなのかフワっとした仕上がりの衣は、天ぷら店のサクッとした食感というより、家庭の天ぷら、あるいは沖縄の天ぷらに近いかもしれない。

しじみ丼ほどの濃厚さは感じられないが、優しい味でとても美味しい。そしてどのメニューも良心的な価格設定だったが、3個で600円はリーズナブルだろう。



デザートがわりに、地元(東庄町)のイチゴを使った「いちごミルク」(300円)も注文。シェイク状でキンキンに冷えており、甘いけれど嫌な甘さではなく、すっきりと飲むことができる。膨らんだ胃袋でも飲めてしまう優しさだ。

ちなみに、現在の東庄町は養豚が盛んで、豚のメニューは「林SPF豚」を使用、オススメは「ロース焼き定食」らしい。それ以外にも大多喜の「ゆば喜」の生ゆばを使ったメニューがおすすめメニューだったり。なんだかシジミの立場が弱いじゃないか。頑張れ! 東庄町名物。

隠し味に豚骨スープを使った「カレーライス」(600円)の匂いを感じつつ、名物の「しじみ丼」の味を忘れないようにする自分がいる。

「ご馳走さまでした」。

そう言いながら、そう遠くない時期にまた来そうな自分がいる。きっと常連のフリをして、同じ「しじみ丼」を頼むだろう。だって、シジミはいつでもカラダに優しいのだから……。

アントレース=取材・文

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