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オーダーはもちろん「ぼっかけ焼きそば」だ。食欲全開になっているので大盛りを頼んだ。

職人が手を止めることなく、次々と焼きそばが手際よく作られる……のだが、その間も鉄板の上に置かれた大量のぼっかけが入った中華鍋に目が行ってしまう。大鍋でじっくり大量に作る煮込みにハズレなし。否応なく期待が高まる。
 

店内で毎日製麺するという自家製麺を炒めて、中華鍋からぼっかけを投入。鉄板の上で焼きそばと手際よく混ぜ合わされる。最後にネギを乗せるか聞かれるのでお願いすると、パラッとネギを振ってくれる。
 

「ぼっかけ焼きそば」に使われる麺は中太麺。なんと、店内で製麺しているのだという。期待を裏切らないもちもち食感で、焼きそばに絡まっているソースは甘みと酸味を感じるフルーティーな味わい。そこにアクセントとして加わるネギのシャキシャキ感がうれしい。

甘辛いぼっかけはよく煮込まれたすじ肉の赤身がほぐれる食感と、脂が溶け出るうまみ、そしてこんにゃくの歯ごたえがそれぞれ主張したり、協力したりして、一口ごとに違った楽しみがある。
 

さらにうれしいのは卓上調味料の充実ぶりだ。左から味調整用のソース、関西圏ではメジャーな粘度の高い辛口どろソース、青のり、マヨネーズ、オリジナルの長田スパイス、そしてかつお粉。もちろん紅しょうがも用意されている。

いろいろと組み合わせを楽しみながら食べたが、個人的なおすすめは長田スパイス。真っ赤な色から激辛調味料を思わせるが実際はそれほど辛くなく、パプリカのような香りの印象のほうが強い。この香りが、フルーティーなソースとまたよく合うのだ。

ちなみに大盛りは大人の男性でもかなりボリュームを感じる量だった。味変祭りを楽しみ尽くすならば大盛り一択だが、普通のサイズでもおそらく満足できることだろう。

昼どき限定と思われるが、店頭でぼっかけ焼きそばのほか、どて焼きや肉豆腐などのテイクアウトメニューの販売も行っていた。自宅で気ままに神戸ローカルグルメを楽しむのも悪くないなと思うと、帰りの電車で何も買わずにきたことにさっそく後悔したものだ。

そしてそう遠くない未来に再訪する予感が今もしているのである。

アントレース=取材・文

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