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ヤマハに始まり、ヤマハに終わる

テネレ700は、前述のとおりオフロードのDNAを継ぐ車体ながら、現行スペックで組み上げられているため、アドベンチャーツアラーとしては軽量。同等クラスのモデルが250kgほどあるなかで、約200kgと1/5も軽い。

だからこそ、普段のライディングの大半を占めるオンロードでの取り回しや走破性も申し分ない。



「車に例えるならポルシェのSUV『カイエン』のようなイメージでしょうか。とにかく舗装路をストレスなく、安定して走ってくれます。排気量に余裕があるから高速道路で疲れないのもいい。オフロード兼用車とは思えないくらいで、街中から峠まで、心地良く巡航するにはもってこい」。



ちなみにテネレとは、パリ・ダカールラリーがまだアフリカ大陸で開かれていた時代、多くのライダーの挑戦を呑み込んだサハラ砂漠の難所地帯にちなんだモデル名だ。もちろんラリーでもプロライダーたちが跨って多くの勝利を挙げてきた。

そのため、足周りに関してはオフロードに対しても惜しみのないセッティングになっている。その気になればダートもしっかり走れる。

「僕も多少ぶつけても別にいい、くらいの心持ちでがっつり走っています」。



カスタムポイントはサスペンションだ。「フロント、リアともにショックの効きが段違いなオーリンズ製のサスに載せ替えていて、リアルにオフロードへと駆り出しても余裕でこなせるスペックに仕上げています」。



買い物やゴルフに出かける際には愛車のテスラで向かう。テネレに乗るのは、「バイクに乗るぞ」という冒険心がうずいたときだ。

「アップライトのスタイルで、軽やかに流すのが今の自分にはたまらなく気持ちがいい。とはいえ、どっしりと“座るバイク”に乗るほど隠居じみたくはなくって、まだまだ跨っていたい。そんな気分に寄り添ってくれるんです」。



「コイツをこの先一生乗る、上がりバイクにしてもいいかな、と思っています」。

数々のバイクと向き合ってきた、ローランドさんならではの現状の結論は、等身大の示唆に富んでいる。

河野優太=写真 礒村真介(100miler)=取材・文

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