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「第3波が発生したのだ」と気づいたときには、すでに目前まで巨大な津波が迫っていた。その大きさは、港から数百メートル沖合にある、水面から高さ5メートルほどの堤防さえも飲み込んでいたという。
「すぐに逃げようとしましたが、すでに足首あたりまで水に浸かっている状態で早く走れない。どんどん水嵩が増して膝くらいまでの高さになった……と思ったら、水の勢いに足を取られ、一気に全身が飲み込まれました。
その津波も第2波と同じくらいの高さだったそうです。水の中で波にもみくちゃにされ、天地も何もわからない。恐怖を感じるというより『あー、やってしまった……』という感覚でした。ただ、水は絶対に飲んじゃいけないというのが頭にあって、息は止めていましたね」。
「波が止まった瞬間、足が地面に当たったような気がしました。もしかして今なら立てるんじゃないかと思い、力を振り絞って起き上がってみたら水面から顔が出ました。『あぁ、息ができる。生きている』と思いましたね。
そのあと『こっち、こっち!』という声が聞こえ、辺りを見渡すと、そこは海上保安部の港湾合同庁舎の前でした。庁舎からは15メートルくらい離れていたかな。運良く海保の方が見つけてくれて、私は助かりました」。
津波で飲み込まれた場所から、庁舎前まではおよそ100メートル。潮溜まりに流れ着き、さらには目の前に避難できる建物があったことなど、奇跡的な巡り合わせで高橋さんは急死に一生を得た。
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